翻刻
【右丁】
料理(れうり)の心得(こゝろへ)
一/料理(れうり)は塩梅(あんばい)はもちろん取合(とりあひ)盛(もり)
方(かた)心得(こころへ)第一也/先(まつ)取合(とりあひ)は青(あを)黄(き)
赤(あか)白黒(しろくろ)を専(もつはら)とす又/
盛方(もりかた)は
円(まうろく)方(かく)長(なが)短(みじかき)を考へ山水(さんすい)をかたどる
心得あるべし何程(いかほど)厚味(こうみ)佳品(かひん)なり
とも取合(とりあひ)盛方(もりかた)のあしきは不(ふ)馳走(ちさう)
のうひと心得(こゝろえ)べし
一/加減(かげん)第一也/尤(もつとも)辛口(からくち)ありあま口あり
て数人(すうにん)の一々(いち〳〵)口(くち)に合う(あふ)やうにとては
【左丁】
出来(でき)ざるものなりしかれどもその
鰹(かつほ)出(だ)し昆布(こんぶ)出(だ)しにかきらず第一に
出(だ)しのかけんを至極(しごく)叮寧(ていねい)になし置(おけ)
ばたとへ客(きやく)の口(くち)によりてかげんは少(すこ)し
かなはずとも塩梅(【あんばいヵ】)によりてうまく
覚(おぼ)へ数人(すにん)の口(くち)にかなふものなり
たとへ加減(かけん)はよくともうまからぬは
塩梅(あんばい)のたらざる也されは塩梅は
原(もと)にして加減(かけん)は後(のち)と心得べし
大方(おほかた)の人/塩梅(あんばい)も加減(かげ
ん)もひとつ