翻刻
【右丁】
その立派(りつは)なる事(こと)目(め)を驚(おと■■)【おどろかヵ】せり
高主(あるじ)も心中(しんちう)にかゝる器物(きふつ)は諸侯(しよこう)
方(がた)たりとも持(もた)せ給ふまじ定めて
褒詞(ほうし)を下(くだ)さるべしと伺(うかゝ)ひゐして
大守(たいしゆ)も御覧(ごらん)付くれしが何(なん)の御(ご)
沙汰(さた)もなく却(かへつ)て此/器(うつわ)に盛(もり)たる
魚類(さかな)には手(て)を付(つけ)られすやがて
近臣(きんしん)に命(あい)【めいヵ】じ下座(げざ)の方(かた)へ押(おし)やう
せ給ひ何(■■?)となく不興(ふきやう)の体(てい)に見之
ければ高主(あるじ)も大に案(あん)に相違(さうゐ)し
【左丁】
其(その)うへ御(ご)不興(ふけう)に驚(おどろ)近臣(きんしん)を
密(ひそか)に招(まね)き其(その)所以(ゆゑ)を問(と)ふに近臣(きんしん)を
其故をしらざれば大守(との)に高主(あるじ)の
心配(しんはい)を言上(ごんじやう)せしかば大守/微笑(びせう)し
給ひ高主(あるじ)の心得(こゝろえ)に申/聞(きか)すべし
鷹(たか)を飾るに鉾(ほこ)かざりといふ式(しき)あり
鉾(ほこ)を横(よこ)たへ其/中央(ちうわう)に鷹(たか)をすへ
その鷹(たか)の左右(さゆうの)鉾(ほこ)より緒(お)を下(さ)げ
此(この)器物(きぶつ)の環(すはん)にかけて鷹(たか)の真下(ました)に
釣(つる)なりこれ鷹(たか)の糞(ふん)をうくる器物(きぶつ)