翻刻
【右丁】
にして不浄(ふじやう)の品なり故(よう?)に取除(とりの)け
させしと宣(のたま)ひしとなり又/予(よ)が知(ちつ)
己(つき)の医師(ゐし)なにがし唐(とう)書画(しよぐは)は勿論(もちろん)
唐(とう)器を愛(あい)せしが道具屋/唐製(とうせい)
の古(ふる)き壷(つほ)を持来(もちきた)りしが此(この)医(ゐ)一目
見るより手(て)にも取(とら)ずして復(かへ)したり
其(その)のち病家(ひやうか)に数寄者(すきしや)ありて茶(ちや)
事(じ)にて招(まね)かれ行くに飾(かざ)り付(つけ)たる
水指(みづさし)以前(いぜん)に見たりし壷(つぼ)によく似(に)た
りしゆゑ其/出処(しゆつしよ)を尋(たづ)ねしに此
【左丁】
頃(ごろ)道具屋より求(もと)めしよしにていと
驕(ほこり)りに答(こた)へしかばさすがに不浄(ふじやう)の
器(うつは)ともいひかね俄(にはか)に腹痛(ふくつう)のよし
いつはり茶(ちや)を喫(きつ)せず帰(かへ)りしと語(かた)
られたり此(この)陶(つぼ)器は唾器(だき)とて唐(もろ)
土(こし)にて病者(びやうしや)の嘔吐(おうと)をうくる器(き)な
りとぞこれらは異(こと)やうなる器(き)
をこのむがゆゑ却(かへつ)て恥辱(ちじよく)を
受(うく)る
ことそがし
一/飯(はん)はこれ又(また)心(こころ)をもちゆべきの