翻刻
【右丁 上段】
夜(よ)寝(いぬ)れは其虫(そのむし)がい
をなすゆへやまひを
うくるといふ此(この)ゆへに
庚申(かうしん)の夜(よ)は寝(いね)ずし
て守(まも)るものなりとい
へりもしねぬる時(とき)
は此うたを唱(とな)ふべし
○しやむじはいぬや
去りねやわか床(ゆか)を
ねたれば寝(ね)ぬぞ
ねたぞねぬるぞ
【左丁 上段】
このやうにとなへて
臥ばわざはひをま
ぬかるべし婦人は
かうしんを信(しん)ずれば
身(み)のさいわひを得
るといへり【注】
【挿絵中】
庚申(かうしん)
【注 類聚本袋草子四に「庚申せでぬる誦文 しやむしはいねやさりねやわがとこをねたれどねぬぞねねどねたるぞ」とあり。】
【右丁 下段】
清原深養父(きよはらのふかやぶ)
夏(なつ)の夜(よ)は
まだ宵(よひ)
ながら
明(あけ)
ぬる
を
雲(くも)
の
いづこに
月(つき)やどるら
む
【左丁 下段】
文屋朝康(ぶんやのあさやす)
しら露(つゆ)に風(かぜ)の
吹(ふき)しく
秋(あき)
の
野
は
つらぬき
とめぬ
玉(たま)そ
ちりける