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コレクション: STAGE7

風俗畫報臨時増刊第百九十九號 明治三十二年十月各地災害圖會(前編之續) - 翻刻

風俗畫報臨時増刊第百九十九號 明治三十二年十月各地災害圖會(前編之續) - ページ 25

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【右ページ上段】  看護婦 河島八重子   以下看護婦九名。付添婦二十一名。院丁二名。     ●地方医の応急手当 箒川鉄橋に於て。汽車は無惨にも顛覆したりとの報。西那須野 停車場に伝(つた)はるや。同駅長本田美景氏は。斯(か)くと西那須野副院 長樋谷松三郎氏へ通知(つうち)したるに。同氏は直に薬局生其他を率ゐ。 同駅長と共に現場へ駈附(かけつ)けたり。こゝに栗本県立病院長。井上 副院長。神野病院長等は。数多(あまた)の助手(じよしゆ)を従へ。遭難(そうなん)場へ。到着 せしも。鉄橋容易に渉(わた)るべからさりしより。先(ま)づ箒川の西岸(せいがん)な る橋傍に収容しありし負傷者(ふしやうしや)を見舞(みま)ひたり。其軽重傷者六名は。 既(すで)に同地方医船曳氏の応急手当を施(ほどこ)し置(お)きたるものゝよし。こ れをも診察(しんさつ)せる折柄(おりから)。川の東方より太田原の医師毛利鐵久。田 崎某。白木某の三氏。鉄橋を経て来れるを見て。井上氏は初め て其|通(つう)ずべきを知(し)り。直(たゝち)ちに烈風暗夜(れつぷうあんや)の危険(きけん)を侵(おか)して。鉄橋を 東に渉りたるに。同所薄葉の栄屋に二十人の重軽傷者ありて。 既に前記毛利。田崎。白木の三氏と同じく地方医たる阿久津某 齊藤某の五|医員(いゐん)にて。一々|応急手当(おうきうてあて)を了せし処なりしとぞ。惨(さん) 憺(たん)たる烈風強雨(れつぷうきょうゝ)の中に。県立病院並に会社嘱託医にも先むじて。 負傷者を手当したりし義侠(ぎきよう)ある地方医士(ちはういし)の機敏(きびん)なる働(はたら)きは。職 業柄とはいへ。感(かん)ずべきことにこそ。     ●日本鉄道会社列車遭難に就て      佐藤博士の談話 今回の鉄道顛覆事件は。誠に痛悼に堪へざる事柄なれば。余は 当時微|恙(やう)の病床より身を挺して遭難地に向ひたり。凡そ此種の 遭難及び震災(しんさい)に由る負傷は。皮下骨傷を生ずること少なきも筋(きん) 肉(にく)の打撲(だぼく)及ひ挫骨(ざこつ)等を多しとす。是れ人の身体に打撃(だげき)を加ふる 物が。概して角形(かくけい)及び平面の鈍物体にして。鋭利(えいり)ならざればな 【右ページ下段】 り。従て縫合其他|精密(せいみつ)なる施術を要する場合は極めて少し。余 は岐阜の震災(しんさい)以来。此の種の変災応急の施術(しじゆつ)に経験あるを以 て。今回も機(き)を誤(あやま)らず負傷の種類を予想(よそう)し。外科器械医薬は勿 論外に副木、繃帯、担架等迄も用意せしめて出張し。神野病院を 始め県立及び共同病院等に充分の準備を加へて。之を患者収容 場と為したれば。患者に対する施術(しじゆつ)及び収容上、毫も差支(さしつかへ)を生 せざりき。即ち患者は挫傷打撲傷(ざしやうだぼくしやう)及び擦過傷多く。頭部重傷の ものは即死なり。中には頭部に鋭利の切り傷を生じ鮮血淋漓た るものあり。是は劇しく窓硝子(まどがらす)に触擦(しよくさつ)したるなり。併し予想よ りも患者の少なかりしは何よりの慶事(けいじ)と謂ふべし。此の如き場 合に一般医師の注意すべきは。遭難現場に於て一々丁寧なる施 術をなすを止め。全患者に亘りて単に応急(おうきう)の略施術をなし。差 当り之を附近(ふきん)の寺院学校病院等に収容したる後。十分精緻なる 治療を施す事是なり。医師此用意を缺(か)くときは。少数の負傷者(ふしやうしや) を救護(きうご)する為めに。他の残る多数(たすう)を見殺(みごろ)しにし。若くは非常の 重傷(ぢうしやう)に陥らしむる恐あり。兎角非常の変災(へんさい)に際しては。矢張り 戦場(せんじやう)と同じ注意を以て。臨機(りんき)の処置を取るの要あるなり。患者 はニ三人を除くの外。大抵今一週間を経過(けいくわ)せば。夫々|帰郷(きゝやう)する を得るに至る見込(みこみ)なるが。総べて患者と云ふものは。一方に慎(しん) 重(ちよう)なる手術|看護(かんご)を要すると同時に。之をして安心(あんしん)を得せしめざ る可らず。此度我輩の出張して一々|診察(しんさつ)したる事は。患者は勿 論其|親戚(しんせき)朋友の人にも安心を與へたる様子なり。尚ほ宇都宮の 神野病院長も余と共に尽力(じんりよく)したる人なれば。其名は特に記し置 かんことを望む云々。     ●遭難者の直話 読売新聞記者が遭難負傷者の一人武藤一夫氏を其の寓麹町二丁 目六番地下宿業一ノ瀬多喜次 (通称黒河内屋ふみ)方に訪(と)ひ聞得(きゝえ) 【左ページ挿画】 【上段説明:右から左へ横書き】 神野病院負傷者入院の図 【下段説明:右から左へ横書き】 県立病院病室の図