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コレクション: STAGE7

風俗畫報臨時増刊第百九十九號 明治三十二年十月各地災害圖會(前編之續) - 翻刻

風俗畫報臨時増刊第百九十九號 明治三十二年十月各地災害圖會(前編之續) - ページ 5

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芝浦に垂釣を試みむと欲し。約を履て払曉舟夫の家に至りしに。 舟夫は天候を察し。暴風の兆あれは舟を出し難しとて。断然之 を拒みしことありき。夫れ舟夫の如き賤丈夫も。自己の金銭を 獲ざるに拘はらず。其の責任を重して辞すること此の如し。況 や堂々たる会社等に於てをや。豈に暴風雨の危険を冒し。其責 任を軽すべけむや。現に東海道鈴川附近の漲溢に際し。沼津発 の列車は。進行中機関運転手前途に危険の虞あるを認め。急に 背進して能く其の難を免かれたるにあらずや。日本鉄道会社の 汽車は。進行を停ることを為さず。勾欄の設けなき橋梁を疾過 せむとせしは。警戒を怠たりしものといはさるを得ず。今後は 諸道の汽車共にかゝる暴風雨等あるの際は。力めて保安を主と し乗客の云云するに關せず。必らず危険を避けて進行を停止す べし。 嗚呼前車の覆りしは後車の戒なり。当時箒川に於て死傷せし者 に対しては。実に追悼慰撫の情に堪へざるも。後来諸道汽車の 台警戒と為すに足れり。豈に大利ある者の大害あるは。其の常 なりとして。予防の策を等閑に附するが如きことあるべけむや。 凡そ汽車の類は。衆人の生命財産を載せて旅程に上るものなれ は。最も其の責任を重じ。世の翁媼をして。往昔の旅行は困難 なりしも。却て安穏なりしとの絮説を費さしむることなかれ。 因て爰に論告して以て将来の鑑戒に供すといふ。    ●暴風雨の豫防    坪川 辰雄 十月七日駿州附近より武州野州に亘り。猖獗を極めたる暴風は。 曩に惨状を逞ふせし。四国及ひ鹿児島地方の暴風に引続き。近 年稀有の災害を生せり。今回の暴風雨は僅々一時間にして。或 は激浪襲来の為め家屋を流し。或は濁水氾濫の為め作物を害し。 或は汽車転覆の為め。我親愛なる同胞をして。一朝無惨の死を 遂けしめ。酸鼻に堪へざる重傷を負はしめたり。其罹災の惨状 は事実を知るに随ひ。いよ〳〵惨にして殆んど聞くに忍びす。 豈に暴風雨襲来は恐れさる可けんや。 夫れ後者の如きは天災とは云へ。当局者の不注意無きにしもあ らす。其は他事ならず。橋梁に欄柵の設けなきは一問題なるも。 また予め特別警報の発せらるゝに際し。注意させりし一事なり。 今回の低気圧襲来も。前日来既に中央気象台より風雨の警戒あ り。就中特別暴風雨の警報は。同日午前八時に発電せられたり。 今同台より発せられたる警報を左に記さむ。 日時   警戒   《割書:低気圧ノ|位置》    低気圧ノ度  記事  進行方向  警戒区域  《割書:十月四日|午後三時三十分》 《割書:海上不穏ノ|虞アリ沿海ヲ警戒ス》 那覇近傍 七百五十五粍 《割書:晴雨計大ヒニ|降ル最低気圧所在地近傍》 北東 《割書:一区東部|及二、三区》 《割書:同五日午|前八時十分》  同上    那覇   七百五十粍   同上   同上  四区 《割書:同日午後|三時五十五分》  同上    同上   七百四十七粍  同上   同上  五乃至七区 《割書:同六日午|後三時四十分》 《割書:風雨ノ虞ア|リ海陸ヲ警戒ス》  大島近傍 七百四十五粍   同上   同上  《割書:一区東部|二、三区》 《割書:同七日午|前〇時五十分》 《割書:風雨ノ虞ア|リ海陸ヲ警戒ス》   同上    同上    同上    同上  《割書:四区及五|六区ノ南部》 《割書:同日午前|八時》  同上    四国沖 七百三十八粍  大雨紀伊半島  同上  《割書:六区北部|七区》 《割書:同日午前|八時》  《割書:暴風雨ノ虞|アリ海陸ヲ警戒ス》   同上    同上    同上    同上  四、五区 左表の如く最初低気圧の大平洋中に在るときは。沿海を警戒し。 其陸地に接近するに随ひ。海陸をも警戒せられたり。元来暴風 警報なるものは。二種ありて之を沿海警報及海陸警戒とす。其 沿海警報は主として海上営業者に対するものにして。此また分 明治三十二年十月七日午後三時ニ於ケル 暴風進行之図 凡例 暴風進路 颶風 烈風 強風 同圧線 数字ハ気圧 粍 暴風ノ通過セシ時刻