翻刻
【右丁】
なれは尽(こと〳〵)相承(さうじやう)しおはりぬ。あら
ましは童児(どうに)の口にある事も侍る
へけれと。要(やう)をとりて用(もち)ひんものは
産(さん)前(せん)後(ご)のあやまちは千中(せんちう)無(む)一
なるへし。もとより和哥(やまとうた)の事
はいともしらぬ道なれは。指をおり
【左丁】
て文字(もし)の数(かす)のあへらんをよしとの
み心うる老(おひ)のひがみに。敢(あへ)て人の
嘲(あさけり)をおもふにしもあらす。彼是(かれこれ)二
百首を歌(うた)養生(やうじやう)と名(な)つけて児(じ)
女(じよ)のなくさみ草になしぬ。この一こと
をも思ひいでなは。おひさき養生