翻刻
【右丁】
あり先(まづ)荒増(あらまし)を絵図(ゑづ)にしるす
奥州路(あうしうぢ)は莚(むしろ)の縁(へり)を弐寸程 折(おり)
立(たて)て中に力竹(ちからだけ)を角違(すみちが)ひに
結(ゆ)ひ付 藁(わら)三四本 宛(づゝ)もつて図(づ)
のごとく三 角(かく)に折(おり)是をむしろ
の中(なか)に立(たて)ならべ此中にすがきし
蚕をばら〳〵と配(くば)り入れ少は
火(ひ)も焼(た)き暖(あたゝか)なる所へ《振り仮名:上ケ|あげ》置て
繭(まゆ)をつくらす是をゑびらと云
又 間伏(まぶし)ともいふ
丹波(たんば)丹後(たんこ)但馬(たじま)辺(へん)は柴(しば)薪(おとろ)の
【左丁】
枝(ゑた)を図(づ)のごとくたばね是を
棚(たな)の間(あひ)にならべ置き此 間(あひだ)に
蚕を入おのれ侭(まゝ)にのぼらせ
まゆ作(つく)らす又 薪(おどろ)に蚕 登(のほ)り
たるを外(ほか)へとり少し暖(あたゝか)なる
所へ上ケならべ置 繭(まゆ)をつくらす
なり夫(それ)より三日めに身わけ
とて薪(おどろ)を引分(ひきわけ)風を入 繭(まゆ)の
湿(しめ)りを乾(かはか)すなり
又 江州(がうしう)は図(づ)のごとく二階裏(にかひうら)
より縄(なは)を二筋(ふたすぢ)づゝつり此 縄(なは)に
【右丁図中】
奥州流(あふしうりう) すがきし
蚕(かいこ)を撰分(ゑりわく)るてい
【左丁図中】
奥州流(あうしうりう)
蟄(すがき)し蚕(かひこ)を
まぶしに入れ
繭(まゆ)つくらす
図