翻刻
【右丁】
すべし扨(さて)壱枚の蚕 半方(はんかた)も出し
と見ヘば拵(こしらへ)たる椹(ふなべ)三 合(かう)程 用意(ようゐ)し
生(うま)れし蚕 多少(たせう)に見合(みあはせ)右の積(つもり)を
もつて用意(ようゐ)すべし最初(さいしよ)の篩(とをし)
は壱歩(いちぶ)四方目(よはうめ)ぐらひをもちゆ
べし《割書:篩の図は|上巻に記す》扨 昼(ひる)九ツ時に彼(かの)
包(つゝみ)し蚕を取出し何の器(うつは)にて
も底(そこ)に早稲(わせ)のすりぬかを能(よき)
程(ほど)に見合せふりて其 上(うへ)に紙(かみ)を敷(しき)
彼(かの)拵(こしらへ)し椹(ふなべ)又は切葉(きりば)にても器(うつは)の
底(そこ)にふり置其うへに生(うま)れたる
【左丁】
蚕(かひこ)種紙(たねかみ)の両端(りやうはし)を図(づ)のごとくに
弐人にて持(もち)紙(かみ)のうらより細(ほそ)き
箸(はし)をもつてしづかにほと〳〵と
たゝき器(うつは)の中(なか)へ蚕(かひこ)をおとすべし
或(あるひ)は昼時分(ひるじぶん)に壱番出(いちばんで)を掃落(はきおと)
さば其日(そのひ)の夕方(ゆふかた)に弐番出(にばんで)を掃(は)く
べし前日(ぜんじつ)に生(うま)れし蚕を翌(よく)
日(じつ)に持越(もちこし)て掃(はく)時は其蚕 何(なに)ほと
手煉(しゆれん)をつくし養(やしな)ふとも庭(には)の
起(おこり)より変(へん)出(いづ)るといへり兎角(とかく)蚕
は其 日切(ひぎり)に掃(はき)取て養(やしな)ふべし
【右丁図中】
椹(ふなべ)を
手(て)にて
揉(もみ)やはらく
図
【左丁図中】
生(うま)れし蚕(かひこ)
箸(はし)にて
落(おと)す図
美しう
蚕は
紙を
はかれ
霜
七沢