翻刻
城王子上京歎願の次第あれとも固より廟議確
定の上なれは今更聴許せらるへきにあらす尚
典よりの願書は却下せられたりとの報あり《割書:盖|鍋》
《割書:島県令赴任ノ際其筋ヨリハ|委曲松田書記官ニ報道アリ》是日松田書記官は
相良少佐高階侍医を伴ひ旧藩王を中城邸の病
褥に訪ひ侍医診断して病状を詳かにせり乃ち
旧藩王の病体旅行に差支なきを認め既に政府
に於て延期聞届られさる上は一周日内を以て
発程の期日を定め申出へき旨を照会せり旧藩
王に於ては猶請ふ所ありといへとも数回談判
の末二十七日発程東上と定まりたり二十七日
旧藩王は其二男宜野湾王子を携へ与那原富川
内間親里等以下数十人を随へ那覇に到り相良
少佐高階侍医等に伴ひ東海号に搭して東上せ
り二十四日旧藩廟に属する武器銃砲弾薬其他
渾て陸軍分遣隊へ引渡すへき旨を達し《割書:廿八日|之ヲ受》
《割書:取|ル》六月四日従来下付せられたる旧藩印章《割書:一顆|銅》
返納せしむ《割書:藩印下渡達書及ヒ条例|ヲ併セテ十一日返上ス》松田書記官
は処分の事全く畢り将に帰京せんとするに臨
み士族総代二百名を召喚し前途の方向を教示