翻刻
【右】
べし
此(この)虎列刺病(これらびやう)の大敵(たいてき)は現在昨年無惨(げんざいさくねんむざん)にも我(わ)が兄弟(きやうだい)
たる十萬餘人(じふまんよにん)を無罪(むざい)に殺(ころ)せる怨敵(をんてき)なれば本年(ほんねん)よ
りも各自(それ〴〵)に力(ちから)を尽(つく)して其(その)凶悪(きようあく)を免(のが)れんことを欲(ほつ)す
るは固(もと)より同情一意(どうじやういちい)にして論(ろん)を俟(ま)たざることな
れども如何(いかん)ある事(こと)に力(ちから)を尽(つく)し如何(いか)なる方法(しかた)を施(ほどこ)
しなぞよく天然(てんねん)の道理(だうり)に叶(かな)ひて之(これ)を豫防(よばう)なし之(これ)
を制伏(せいふく)することの成(な)るべきや此等の方(しかた)を十分(じふぶん)に
工夫研究(くふうけんきう)なきことは今日(こんにち)吾人(われ〳〵)の最大切(もつともたいせつ)なる義務(つとめ)
と謂(い)ぐべし
【左】
夫(か)の農民(のうみん)が米(こめ)を作(つく)るに先(ま)づ苗代(なはしろ)の仕立(したて)より莠草(はぐさ)
の耘除培養(かりとりこやし)の時期(やりどき)など十分(じふぶん)に其(その)処理(てあて)を会得(ゑとく)せざ
れば秋(あき)の豊穣(みのり)を獲(う)ること能(あた)はず虎列刺病(これらびやう)の豫防(よぼう)も
亦(また)その如(ごと)く先(ま)づ十分(じふぶん)に豫防(よぼう)する方法(しかた)を会得(ゑとく)なき
ざれす決(けつ)して其益(そのえき)あることなく又(また)其害(そのがい)を免(のが)るゝ
能(あた)はず然(しか)るを一般(ちつぱん)の人民(じんみん)は此(この)凶暴(けいやぼう)なる虎列刺病(これらびやう)
を防(ふせ)ぐの手段(しゆだん)に尤(もつと)も疎(いと)く且(か)つは極(きは)めて拙(つたな)くして
此(この)大敵(たいてき)を防(ふせ)ぐには如何(いか)なる方法(しかた)をのあるやらん解(げ)
さゞるものゝ多(おほ)ければ今(いま)其手段(そのしやだん)方法(しかた)をば委(くは)しく
次(つき)に辨説(かきの)すべし人々(ひと〴〵)能(よ)く此(この)解説(ときあかし)を会得(ゑとく)せば政府(せいふ)