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【右】
を踏(ふ)まず一向(ひたすら)に之(これ)を神仏(しんぶつ)に祈(いの)るが故(ゆゑ)なり病人(びやうにん)も
亦(また)その如(ごと)く其快復(そのくわいふく)を神仏(しんぶつ)に祈(いの)り医薬(いやく)の療養怠(れいゆおこた)る
ときは神仏(しんぶつ)も亦此病(またこのやまひ)を到底治(つまりぢ)することを能(あた)はず病(やまひ)に
す皆一病毎(みないちびやうごと)に病(やまひ)となるべき天然(てんねん)の道理即(だうりすなは)ち原因(みなもと)
あり発(はつ)するものなれば其原因(そのみなもと)に対(たい)したる一定(いつてい)
の常則即(きまりすなは)ち療養(れうやう)を施(ほどこ)さずして神仏(しんぶつ)を抑(あふ)くそ愚(おろか)と
謂(い)ふべきなり
是故(このゆゑ)に人々(ひと〴〵)にて其災害(そのわざはひ)を免(のが)れんと思(おも)はづ先(ま)づ其(その)
災害(わざはひ)を免(のが)るべき道理(だうり)を踏(ふ)みて自身(じしん)にも為(な)すべき
事(こと)を能(よ)く力(つと)め然(しか)る上(うへ)にて神仏(しんぶつ)に加護(かご)を願(ねが)ふが当(たう)
【左】
然(ぜん)なり凡(すべ)て信心(しん〴〵)をなす事(こと)は実(じつ)に殊勝(しやしよう)なる事(こと)なれ
ども其信心(そのしんじん)をなす前(まへ)に充分一身(じうぶんいつしん)の手(て)を尽(つく)さねば
信心(しんじん)も利益(りやく)あるをなしされば今世間(いませけん)の一大敵(いちだいてき)に
して暴悪非道(ほうあくひだう)の災害(わざはひ)をなす彼(か)の虎列刺病(これらびやう)を豫防(よぼう)
なし又之(またこれ)を制伏(せいふく)するに当御(あた)り神仏(しんぶつ)の加護(かご)を仰(あふ)ぐと
人々(ひと〴〵)に尽力用心(じんりよくようじん)する事(こと)とは亦右(またみぎ)に陳(のぶ)るが如(ごと)く天(てん)
然(ねん)の常理(だうり)に従(したが)はざるべからず一家(いつけ)の福利(ふくり)を求(もと)む
るに先(ま)づ十分(じふぶん)に其業(そのげふ)を力(つと)めて神仏(しんぶつ)に祈請(きせい)すれば
眼前(がんぜん)に其功験(そのしるし)を見(み)る如(ごと)く先(ま)づ第一(だいいち)に各自(それ〴〵)に其本(そのほん)
分(ぶん)を尽(つく)して以(もつ)て虎列刺病(これらびやう)の大敵(たいてき)を防(ふせ)ぐことを力(つと)む