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【右】
外見(みかけ)は清浄(しやう〴〵)なるものにても容易(ようい)に飲(の)まざる様(やう)
用心(ようじん)すべし
<第二>河水(かはみづ)を用(もち)ひずして井水(ゐどのみづ)を用(もち)ふる場所(ばしよ)は其(その)
井(いど)の位置(ありば)に注意(ちゆうい)し便所(べんじよ)を離(はな)るゝ遠近(ゑんきん)及(およ)び便器(べんき)
の製造(つくりかた)堅固(じふうぶ)にして其中(そのなか)の汚汁(しる)を漏(も)らす憂(きづかい)なき
や否(いなや)を吟味(ぎんみ)すべし土中(つちのなか)に滲込(しみこ)みたる両便(りやうべん)の汚(し)
汁(る)は土層(つちめ)を潜(くゞ)りて井水(ゐどのみづ)に混入(まさりい)ること案外(あんぐわい)に容(よう)
易(い)なるものなり総(そう)じて土中尾(つちのなか)に滲込(しみこ)みたるもの
は其儘(そのまゝ)に消失(きえう)するものゝ如(ごと)く思(おも)ひて其(その)卯/行先(ゆくさき)を
穿鑿(せんさく)せさるは世人(よおひと)の常(つね)なれども土層(つちめ)は宛(あだか)も篩(ふるひ)
【左】
の如(ごと)くにて常(つね)に其(その)吸収(すひこ)みたるものを濾過(こしとほ)すこと
少(すこ)しも障(きは)りなきもの故(ゆゑ)に井(ゐど)の近傍(まぢか)に汚汁(わるみづ)あれ
ば忽(たちまち)に井中(ゐどのなか)に混入(まざりは)るなり畏(おそ)るべく慎(つゝし)むべし
<第三>井(ゐど)は近傍(まぢか)にの溝下水(みぞげすゐ)より其(その)汚水(わるみづ)を滲透(しみとふ)さゞ
る様(やう)平常(つね〴〵)に注意(ちゆうい)すべし故(ゆゑ)に下水(げすゐ)を通(とほ)すには成(な)
る丈(た)け井(ゐど)より遠(とほ)くすべし又(また)成(な)るべく魚類等(うをるゐとう)を
井戸端(ゐどばた)にて調理(こしら)へぬ様(やう)するが宜(よろ)し是(これ)は魚(うを)の洗(あらひ)
汁(しる)野菜(やさい)の切屑(きりくづ)など腐(くさ)れ出(いだ)して自然(しぜん)に其(その)土中(つちのなか)に
滲入(しみこ)み井水(ゐどのみづ)を汚(よご)すが故(ゆゑ)なりされば井(ゐど)は油断(ゆだん)な
く心附(こゝろづ)けて之(これ)を看護(もりかば)ふこと宝物重器(たからもの)を秘蔵(たくは)ふる