翻刻
【右】
又(また)消毒(せいどく)も行届(ゆきとゞ)き家族(かない)に遷(うつ)る虞(きづかひ)もなく殊更(ことさら)店商家(いやうか)
にては商売(あきなひ)も出来(でき)がたけれども入院(にふゐん)したる其(その)後(のち)
に衛生委員(ゑいせいゐゐん)の指図(さしず)を受(う)け其(その)家(いへ)に消毒(せうどく)する時(とき)は其(その)
商売(あきなひ)も許(ゆる)さるべし故(ゆゑ)に避病院(ひびやうゐん)に入(い)ることは其(その)身(み)
の為(た)め又(また)家族(かない)の為(た)め又(また)経済(けいざい)の為(た)めと知(し)るべし
偖(さて)避病院(ひびやうゐん)の取扱(とりあつかひ)は如何(いか)なることをなすか全(まつた)くこ
れを知(し)らずして只管(ひたすら)浮説(ふせつ)を信用(しんよう)なし入院(にふゐん)を嫌(きら)ふ
者(もの)多(おほ)し依(よ)りて今(いま)其(その)取扱方(とりあつかひかた)の大略(あらまし)を左(さ)に示(しめ)すべし
一/避病院(ひびやうゐん)にては病者(びやうしや)一人毎(いちにんごと)に清浄(しやう〴〵)の寝床(ねどこ)蚊帳等(かやとう)
なり病室(びやうま)は通例(つうれい)四畳敷(よでふじき)に壹人(いちにん)の規則(きそく)にて病者(びやうしや)
【左】
多(おほ)き時(とき)にても一人(いちにん)二畳敷(にでふじき)より減(げん)ずることなし
一/醫師(いしや)は院中(ゐんちう)に詰(つ)め切(き)り時々(とき〴〵)見廻(みまは)りて懇切(ねんごろ)に療(れう)
治(ぢ)せらるべし
一/看病人(かんびやうにん)は晝夜(ちうや)附(つ)き居(を)りて親切(しんせつ)に介抱(かいはう)なし吐瀉(としや)
物(ぶつ)は一人(いちにん)毎(ごと)に備(そな)へたる器(うつは)に取(と)りて其(その)都度(つど)消毒(せうどく)
を行(おこな)ふなり
一/軽症(けいしやう)の病者(びやうしや)と重症(ぢゆうしやう)の病者(びやうしや)こそ病室(びやうま)を区別(くべつ)し快(くわい)
方(ほう)に赴(おもむ)くときは復(ま)た別室(べつま)に移(うつ)すなり
一/家族(かぞく)にて看病(かんびやう)をなさんことを望(のぞ)む時(とき)は必(かんら)ず速(しみやか)に
許容(ゆる)さるべし尤(もつとも)常(つね)に院中(ゐんちう)に寄宿(きしゆく)なすとも妄(みだり)に