疫病関連資料を翻刻!

コレクション: コレクション2

虎列剌予防の諭解 1巻 - 翻刻

虎列剌予防の諭解 1巻 - ページ 28

ページ: 28

翻刻

【右】 実(じつ)に惨(むご)らしを状況(ありさま)にて言(い)ふに忍(しの)びざるもの少(すく)な からずされば一家(いちか)の主人(しゆじん)たるものは家内(かない)の此(この)病(やまひ) に傳染(でんせん)せざる様(やう)に注意(ちゆうい)するは固(もと)より其(その)職分(やくまへ)義務(つとめ) にして若(も)し其(その)主人(しゆじん)にて病人(びやうにん)を引分(ひきわく)ることなく又(また) は其(その)吐瀉物(としやぶつ)の消毒(せうどく)に注意(ちゆうい)せざるときは特(ひと)り其(その)家(か) 内(ない)を安全(あんぜん)に保護(ほうご)し得(え)ざあるのみならず一町一村(いつちやうしつそん)之 れが為(た)めに無量(むりやう)の災難(さいなん)を受(う)くるなるべし 各人(ひと〴〵)能(よ)く心(こゝろ)を平(たひらか)にして右(みぎ)の道理(だうり)を会得(ゑとく)すれば避(ひ) 病院(ひびやうゐん)に対(たい)して不平(ふへい)を訴(うつた)へ又(また)は粗暴(てあら)なる挙動(ふるまひ)をな すべからざることは何人(なんひと)にても能(よ)く合点(がてん)し得(え)らる 【左】 べきなり 避病院(ひびやうゐん)は右(みぎ)の有様(ありさま)ゆゑ決(けつ)して恐(おそ)るべきものにあ らず自宅療養(じたくれいやう)の届(とど)かぬとおもふものは願(ねがひ)ても入(にふ) 院(ゐん)療治(れうぢ)すべきものなりまして譯(わけ)なく忌嫌(いみきら)ひて病(やまひ) のおこりたるをも隠蔽(つゝみかく)し吾人(わら〳〵)の難儀(なんぎ)を見(み)るは不(ふ) 了簡(れいけん)の限(かぎ)りと謂ふべし 又(また)虎列刺流行(これらりうかう)の時(とき)は政府(せいふ)は勿論(もちろん)町村(ちやうそん)の衛生委員(ゑいせいゐゐん) にて如何程(いかほと)に豫防(よぼう)消毒(せうどく)の世話(せわ)あるとも其(その)地(ち)に住(すま) 居(ひ)の人々(ひと〴〵)にて病敵(びやうてき)を退治(たいぢ)する念慮(ねんりよ)なければ決(けつ)し て其(その)効(しるし)あるものならず故(ゆゑ)に人々(ひと〴〵)皆(みな)其(その)心得(こゝろえ)ありて