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コレクション: コレクション2

虎列剌予防の諭解 1巻 - 翻刻

虎列剌予防の諭解 1巻 - ページ 7

ページ: 7

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【右頁】 敵(てき)ありて形(かたち)あるものよりは一層(いつそう)劇(はげ)しき害(がい)をなし 且(かつ)其敵(そのてき)の所為(しわざ)曾(かつ)て人(ひと)の耳目(みゝめ)に掛(かゝ)らず正(まさ)しく害(がい)を なしたる後(のち)に至(いた)りて始(はじ)めて其(その)畏(おそ)るべきを知(し)るも のあり此敵(このてき)は是(こ)れ何物(なにもの)なるや即(すなは)ち虎列剌(これら)其他(そのた)の 伝染病(でんせんびやう)なり其(その)攻(せ)め来(きた)る鋒刃(ほこさき)は極(きは)めて神變不測(しんべんふしぎ)に して如何(いか)なる所(ところ)に潜(ひそ)み隠(かく)れ如何(いか)なる所(ところ)より撃(う)ち 出(いづ)るか容易(ようい)に之(これ)を知(し)り難(がた)く吾人(われひと)ともの目(め)に觸(ふ)れ ざるゆゑ之(これ)を形(かたち)なき敵(てき)と云(い)ふなり其人間(そのにんげん)に害毒(がいどく) をなすこと形(かたち)ある敵(てき)よりも夐(はる)かにまさりて畏(おそ)る べき大敵(たいてき)なり 【左頁】 さて斯(か)く畏(おそ)るべき病敵(びやうてき)も決(けつ)して偶然(ぐうぜん)に攻(せ)め来(きた)り て其害毒(そのがいどく)をなすものならず来(く)るには必(かなら)ず来(く)るだ けの自然(しぜん)の道理(だうり)のあることは戦争(いくさ)飢饉(ききん)洪水(おほみづ)等(とう)其(その) 天然(てんねん)の理(り)に因(よつ)て出来(いでき)たるに異(こと)ならず凡(すべ)て此等(これら)の 災害(わざはひ)は皆(みな)それ〴〵の道理(だうり)ありて起(おこ)るものにて決(けつ) して神佛(しんぶつ)の冥罰(ばち)にも非(あら)ず又(また)悪魔(あくま)の所為(しわざ)にも非(あら)ず 若(も)し神佛(しんぶつ)の怒(いかり)ならば善(ぜん)を祐(たす)くる神佛(しんぶつ)が慈悲善根(じひぜんごん) の人(ひと)までも悪人共(あくにんとも)におしなべて生命(いのち)を絶(た)つの理(り) はあらじ若(も)し亦(また)悪魔(あくま)の所為(しわざ)ならば人力(じんりよく)を以(もつ)て防(ふせ) ぎ得(う)るの理(り)なかるべし