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コレクション: 漂流記コレクション

難船人帰朝記 - 翻刻

難船人帰朝記 - ページ 3

ページ: 3

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一 同六日右出帆南沖江乗出し拼縄にて小魚少々釣揚件之岬なる白濱に掛り   夜を明ス 一 同七日早朝地嵐に沖の方江乗出し行内風泙類船二十艘程有之其船々   は沖高く乗出せとも伝蔵船は艪手弱き故足摺山より六七里計沖合にて   縄を拼て鯖を釣揚る場合昼頃押風吹出しけれは縄を揚帆にて地方へ   寄んとする又泙になる拼縄に掛る所に此西風は吹出し波上以の外あしき故   拼縄半分は切捨ル地方へこき寄んとすれ共風益強く心侭に船拵ひ出来ス   一同力をつくし働といえとも艫艪おれかくはつれけれは身縄にて船梁へ   くゝり付んと周章騒く内二十艘余の船は皆々先に相成大キに落さかり精   力を尽し艪を押し立んとすれ共艪おれ気力も労れ弥増自由に   得扱す帆を少々計り揚て地方に向わんとすれ共波風烈敷日暮に   成に従ひ保ち難き程の大波になり色々として相凌き夜を明す 一 同八日夜明方に地方を望めは室津の沖と覚遥に人家は見ゆれ共   艪は折たり流れたりして地方へ寄べき手立もなく風潮にまかせ漂ひ   行内大波打込水船になりかはる〳〵あかを取凌き居る 一 同九日西北風に而益大時化に相成夜前の大波に水も潮に成其水にて   粥を焚釣揚の魚を煮て一同に給へる此節に寒気難堪着用は濡   れ皆々凍へ其中重介五左衛門手足叶わす伝蔵楫を取寅右エ門万治郎   あかを取風波を凌く 一 同十日風波少々泙北東風に変り雨降候に付笘を葺雨を凌少々残り居   ル米にて粥を焚魚を煮て一同に給べる右薪なけれは鋪板をくたきて   薪にす風また変り西風に成り船流るゝに行事飛か如し 一 同十一日西北風大に吹此節米拂底水はなし飢渇に及ふ 一 同十二日風昨日之如し鷗大分見ゆるに付き島山近くならんと一同に噺   合て楽しむ 一 同十三日大アナゼになり波弥益高くなり昼頃寅右エ門巽の方に島を見   出し一同気力を取直し大に力を得て神佛へ立願し風お真艫に受て   島影を目當に帆を揚走るに潮早く船進す甚難義致ス此時伝蔵   楫を取身縄を切放せは寅エ門重介帆を取込万二郎はあか取五左エ門は手凍へて   働得す無程日暮になりて漸く嶋近く寄来れ共風波荒く磯に着く事   叶はす碇を卸して掛留んとすれ共底波石有りて船掛り難し   依て腕の折れたる艪を調義して島を廻りて見れは岩石かちにて 嶮岨なる磯ゆへ着場なく漸一ト処船着を見附此所に漕寄は碇を   おろし船にて夜を明す 一 同十四日早朝島へ游き上り水を尋んとするに大成る鱶夥敷居るを見て皆々恐れ   相談をかへて船をつかしむ上るに大波打来りて水船に相成一同上陸して重介