翻刻
【右頁】
百瀬養中先生著
養生一家春
容安居蔵
【頭部欄外に横書き】
文政庚寅春再刻
【左頁】
幸(さいわい)に有難(ありがた)き
聖代(せいたい)に生(むま)れ仁澤(じんたく)の深(ふかき)に浴(よく)し農(のう)は耘耕(うんかう)に懈怠(けだい)なく商(しやう)は
交易(かうゑき)を平直(へいちよく)にして各々(おの〳〵)其(その)業(げう)を勤(つと)めおの〳〵其(その)天命(てんめい)を
尽(つく)す吾儕(わなみ)醫(い)を業(げう)として耕(たがへ)さずして児(こ)餒(う)へす織(おら)すして
妻(つま)凍(こゞ)えず枕(まくら)を高(たか)ふして臥(ふ)し几(おしまづき)に𠙖(よ)つて眠(ねむ)るいかがして
国恩(こくおん)の渥(あつき)に報(むく)ひ奉(たてまつ)りいかがして天命(てんめい)の厳(をごそか)なるに答(こた)へ奉(たてまつ)
らん哉(や)恐(おそ)れても又(また)おそるべし爰(ここ)におもへらく四民(しみん)各(おの〳〵)其(その)業(げう)
を勤(つと)むるに病(やまひ)無(な)くして壮健(さうけん)ならざれば勤(つと)め行(おこな)ふ事(こと)あた
はず故(かるがゆへ)に古(いにしへ)より醫薬(いやく)の設(もふけ)有(あ)りて小伎(しようき)なりと云(い)へとも
天職(てんしよく)に列(つら)なれりしかれば天下(てんか)の人(ひと)に病(やま)ひ無(なか)らん事(こと)をのみ
【朱印・京都帝国大学図書之印】
【朱印・富士川游寄贈】
【黒印・187256 大正7.3.31】