翻刻!江戸の医療と養生

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養生一家春 - 翻刻

養生一家春 - ページ 5

ページ: 5

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【右頁】 醫(い)の本意(ほんい)とすべし予(よ)小少(しよう〳〵)より醫(い)を業(げう)として常(つね)に其(その)恐(おそ)る べきをおそれ只管(ひたすら)古醫聖(こいせい)の規則(きそく)を守(まも)る事(こと)既(すで)に三十又(さんじうゆう) 餘年(よねん)一(ひと)つの成(な)せる功(こと)なし始(はしめ)は栄勢(ゑいせい)の利(り)を遂(お)ひ巧拙(かうせつ)の 名(な)を競(きそ)ひ病(やまひ)を治(ぢ)するの方(はう)を求(もと)め孜々(じゞ)として自(みつから)強(つと)めしに 中比(なかころ)賢者(けんしや)の教策(けうさく)に触(ふ)れ利(り)に依(よ)り名(な)を尚(たうと)ふの己(おのれ)を克し 人(ひと)の病(やまひ)を見(み)て躬自(みづから)病(や)むが如(こと)く気(き)を屏(しりぞ)けて病(やまひ)を胗(しん)するに 微(すこ)しく分(わか)り方(はう)を處(しよ)するに偶々(たま〳〵)中(あた)る事(こと)を覚(おぼ)ゆ十年前(じうねんぜん) 実(じつ)に文化(ぶんくわ) 元年(ぐわんねん) 甲子春(きのへねのはる) 豁然(くはつぜん)として古醫聖(こいせい)の方法(はうはう)深切(しんせつ) 著明(ちよめい)なる底(ところ)を窺(うかが)ひ得(ゑ)て是(こゝ)に於(おい)て病(やまひ)を治(ぢ)する事(こと)の 難(かた)きに非(あら)ずして生(せい)を保(たも)ち天年(てんねん)を全(まつた)ふするの実(じつ)に難(かた)き 【左頁】 事(こと)を辨(べん)じ夫(それ)より五七年来(ごしちねんらい)薬(くすり)を忘(わす)れて薬(くすり)を御(ぎょ)【左に「ツカヒ」と傍記】し病(やまひ)を 忘(わす)れて病(やまひ)を治(ぢ)するの義(ぎ)に通(つ)ふずる事(こと)を得(ゑ)たり此(この)義(ぎ) 筆舌(ひつぜつ)に尽(つく)しがたき所(ところ)有り其(その)旨(むね)を序(じよ)するのみ古醫聖(こいせい)の 方法(はうはう)全(まつた)く生命(せいめい)を全(まつた)ふするの一(いつ)を以(もつ)て貫(つらぬ)く事(こと)を知(し)る生(せい)は 実(まこと)に天地(てんち)の大徳(たいとく)なり誰(たれ)か是(これ)を好(このま)ざらんや誰(たれ)か是(これ)を愛(あい)せ ざらんやしかるに已(すで)に病(やむ)の病(やまひ)を患(うれ)へて未(いま)た病(やま)ざるの病(やまひ)を治(ぢ)する 事は世人(よのひと)と醫(い)と倶(とも)に是(これ)を忽諸(ゆるかせ)にする事(こと)怪(あや)しむべし故(かるかゆへ)に 三四年来(さうしねんらい)予(よ)通家(つうか)【昔から親しく交わってきた家】の人々(ひと〳〵)へ切(せつ)に生(せい)を養(やしな)ふの方(みち)を語(かた)りすゝ むるに是を用(もち)ひて行(おこな)ふ人(ひと)旧瘕(きうか)【左に「シヤク」と傍訓】の聚(じゆ)【左に「シコリ」と傍訓】を痊(いや)し宿癥(しゆくちやう)【左に「ツカヘ」と傍訓】の結(けつ)【左に「ムスボリ」と傍訓】を 解(と)き漸(やうや)く生(せい)を養(やしな)ひ得(ゑ)て無病壮健(むびやうさうけん)にして業(げう)を楽(たの)しむ