翻刻
としをへてまつしるしなきわかやとを
はなのたよりにすきぬはかり そ(かと)【「そ」の左に「ヒ」と見える字が傍記】しのひやかにう
ちみしろき【身動きをする】給へるけはひもそてのかもむかしよ
りはねひまさり給へるにやとおほさる月いり
かたになりてにしのつまと【妻戸=開き戸】のあきたるより
さはるへき【さえぎるはずの】わたとの【渡殿=二つの建物の間をつなぐ渡り廊下】たつや【建物】もなくのきのつま
ものこりなけれはいとはなやかにさしいりたれは
あたり〳〵【あちこち】みゆるにむかしにかはらぬ御しつらひ【調度の配置】の
さまなとしのふくさにやつれたるうへのみるめ
よりはみやひかにみゆるをむかしものかたりに塔