翻刻
かり出し可申間船作り候へと山之木何本ニ而も望次第
又此方之者も手伝ニ遣し可申と申故十月ゟ船作りに
掛り《見せ消ち:戌之三月時分致出来候|》一日ハ山江行薪をこり畑
へ行一日ハ船に掛り戌之三月時分致出来候船之木ハ突(トツ)
宝(ホウ)と申木にて作り申候斧壱丁に柄三本拵へ山にてハ長
き柄又ハけずり申時ハ短かき柄に差替遣ひ申船之
長さ八尋程ニ致し鉄類無之故かすかいにハ合釘
釘のあたまの方を
に桑之木を合釘ニ致穴ハ桑之木をけづりて至極
たゝき綿之様ニ致シ留申候船之大釘弐本所々にて
先を能くとぎ
かりのミに致遣ひ山江行木を見立ともへかつこふ
能く作り船半分程出来之節大野村七吉と申者木ニ
うたれあばらを打殊之外痛ミ三十日計も宥病いた
わり候得共薬と申物無之終ニ相果申候其節七吉波丹
の者に能事申置候七吉最期之時分手立に主人を
呼寄追付船も可申間段々の御恩に金銀之外珍物
ともを取集めせめての御恩送りに進可申と十三人
の者共常々申合居候に私事ハ不慮成あやまちにて
只今相果申候御恩送り不申候事面目も無仕合なり
私替りに十弐人の衆中右之品沢山に取集て我等主人
へわけて沢山ニ進し可申候ニ頼入候是を最期(サイゴ)の暇乞