翻刻
【右頁】
”役と人”
冬木佑之助
林長二郎
澄江
千早晶子
柴田十郎左衛門
關操
槇田傳次郎
正宗新九郎
綱五郎
坪井哲
清香
千代田綾子
安藤平九郎
相馬一平
【左頁】
のめぬ酒を無理にすゝめられ佑之助は何時と
はなく酔ひ倒れて了つた。
十郎左衛門は娘と共に佑之助の歸りを待わ
びて居た。
傳次郎は一人不快の思ひで師の邸に
歸つて來た。
その夜遂に佑之助は歸らなかつた。
澄江は父の手前をはばかつて一人冬木
の身を案じて居た。
朝になつて佑之助は思はぬ不覺に驚きながら
邸へ歸つて來たがいつに變らぬ恩師の情に佑
之助は唯感涙にむせぶのだつた。
◇
當時京の人々から毛虫の如く嫌はれて居る姫路
藩の浪人安藤平九郎は身も魂もとけ入る様に
清香を想つて居た。
平九郎は清香を我がものにせんと博徒仲
間では一寸顏の賣れてゐる清香の兄綱