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【右頁】
この騒ぎに來合せて居た傳次郎が飛
び出した。
”おゝ命知らず小伜またうせたか今日こ
そは刀の錆だぞ”
”言うな素浪人汝の命はもらつたぞ”
白刃は亂れた、時ならぬ亂鬪が起る!
思はぬ女の手紙から佑之助は十郎左衛門から
誤解をされ破門された身を何處をあてともな
くあるいて居た。
#やつぱりそうだ!槇田がやつたに違
ひない”
と思ふと今まで信じて居た友の心
がうらめしかつた。
”あゝあなたは冬木様今平九郎の
爲に槇田様が大變です”
聞くより佑之助は清香の家へ走つた駈け
付けるやむらがる敵の中に切り込んだ。
【左頁】
糺の森に暮六
つの鐘が靜か
に流れて來た
兩人の顏に殺
氣が走る”サ
ア!抜ケ”
”暮六つの鐘
だ”氣合と共
に白刄が光る
槇田は上段!
冬木は靑眼に
かまへて詰よ
せる。
冬木がはずす
切先に槇田は
とくいの諸手
突!白刄亂れ
て火花散る!
林長二郎の扮する
冬木佑之助と
正宗新九郎の扮す
る槇田傳次郎の息
詰まる様な殺陣の
二場面