疫病関連資料を翻刻!

コレクション: コレクション3

牛痘辨非 - 翻刻

牛痘辨非 - ページ 5

ページ: 5

翻刻

【右頁】 妖言(ようげん)に惑(まどは)さるゝ事いかんともすべからずされ其/追々牛痘(おひ〳〵ぎうとう)の害(がい)を被(かうふ)る もの多(おほき)きを以て隅々(こま〳〵)は其/非(ひ)を知(しる)ものありといへ其/種師(しゆし)は猶(なほ)靦然(てんぜん、アツカマシク)として 自(みつか)ら恥(はぢ)す更に遁辤(とんじ、ニゲコトバ)【?】を作(つくり)て其非を飾(かざる)は醜(にくむ)にべきの甚(はなはだし)といふべし漢土(かんど、モロコシ) にては崔金南(さいきんなん)その害(がい)を憂(うれひ)て覆車懸鑑(ふくしやけんかん)の作ありといへ其/竟(つい)に其/幣(へい)を 救(すくふ)事/能(あたは)ず是亦_レ嘆息(たんそく)すべき事なり夫/痘(とう)は一種(いつしゆ)の異毒(いどく、コトナル)にして尋常(じんしよう、ツネテイ) □毒(たいどく)と同からず深く骨髄(こつずい、ホネノウチ)に沈伏(ちんふく)して時有て沴気(れいき、アシキ)に感(かん)じて発出(はつしゆつ) するものなり其/発(はつ)する所の沴気(れいき)も亦一種の異気(いき、コトナル)にしてこれと 相/感(かん)触(しよく、フレル)するが故に骨髄の毒発(とくはつ)して痘瘡(とうそう)となる其/一(いと)たび発するに 至ては勢更(いきほいさら)に防禦(ぼうきよ、フセギトゞム)すべからず稀(き、スクナキ)となり密(みつ、オホキ)となり紫黒(しこく、ムラサキクロ)となり灰(くわい、ハイゝロ) 白(はく、シロ)となるは蓄(ちく、タクワヘ)毒の濃淡多少(のうたんたしよう、コキ ウスキ オホキスクナキ)に由(よる)未だ発せざるの前は骨髄に沈(ちん、シヅミ) 【左頁】 伏(ふく)して聲臭(せいしう、オーモカオ)ともに無く有無浅深(ゆぶせんしん、アルナシアサキフカキ)知(しる)べきの理(り)なしいかでか皮膚外(ひふぐわい、カワハダヘノホカ) 数粒(すうりう)の種痘(しゆとう)を以て其毒を引出(ひきいだ)す事を得(え)んや頭瘡疥癬(づそうかいせん、カシラノカサ シツ ヨリゼン)の如きも 皆よく傳染(でんせん、ウツル)して或(あるい)は周身蔓延(しうしんまんゑん、ミウチニハイヒロガル)に至る是毒(これどく)の浅(あさき)ものゆへ飲食(いんしよく、ニミクヒ)の為も 増減(ぞうげん)し易(やす)く沴気(れいき)の觸冒(しよくぼう、フレオカス)を待(また)ず多(おほく)は傳染(でんせん)よりして発出(はつしゆつ)し来るなり 痘はしかしず若傳染(もしでんせん)のみにして発(はつ)するものは是/様痘(やうとう、ホウソウノカブレ)にして正痘(せいとう、マコトノホウソウ)には あらざるなりされば母(はゝ)の乳傍(にうほう、チゝノカタワラ)或(あるひ)は看病人(かんひようにん)も其の膿(のう、ウミ)気(き)に觸(ふれ)て二三 顆四五顆多(くわしどくわおほき)は数十顆(すうじうくわ)を発(はつ)するあり其/形正痘(かたちせいとう)と異(こと)ならず斯(さ、ヒギリ)に 依(より)て開落(くわいらく、テソロヒカセ)す痘後(とうご、ホウソウゴ)の人といへ其亦/触発出(よくはつしゆつ)す痘(とう)前(ぜん、マヘ)の人の是を発し て後又正痘(のちまたせいとう)を免(まねかれ)ず是/等(ら)は膿(のう、ウミ)気(き)にのみ感(かん)染(せん、ソマル)するもの故に正痘 にはあらす沴気(れいき)の感(かん)觸(しよく、フレル)にあらざれは骨髄(こつずい)の毒おる事なし故に