翻刻
【右丁】
あるはなきならひもかなしうつもれぬ
ことの葉のみはなを残る世に
越前の守なりける人の妻みまかりにし後
清池の二字を
法皇宸翰をそめられくたし給ひ
新院もまたかの読置し哥ともの御座の
右にありしを御覧あらせおはしまして
あるはなきならひもかなしといふ
【左丁】
御製御口すさひありしかは予もとし月
哥の事なと尋ねられしを思ひ出られて
其人は菩提のためと心さして金字心経一巻
書写しつたなきことのはをつらね国の守へ
をくり侍りし
照高院宮
おもへ人色に染しもそのまゝに
空しととける法のまことを
述懐