翻刻
【右丁】
是(これ)も花丸漬(はなまるづけ)の仕法(しはふ)にしてつけるなり紀州(きしう)若山(わかやま)より出(いづ)
るを名物(めいぶつ)とす
初夢漬(はつゆめづけ)
花(はな)落(おち)茄子(なすび)の蒂(へた)を切(きり)まわして甘(あま)く塩押(しほおし)にして芥子(からし)を
かき醤油(せうゆ)にてゆるめ少(すこ)し白砂糖(しろさとう)を入て塩梅(あんばい)して茄子(なすび)を
漬(つけ)るなり日数(ひかず)多(おほ)くは持(もち)がたき品なり
鼈甲漬(べつかうづけ)
糠味噌漬(ぬかみそづけ)の故(ふる)き茄子(なすび)を丸(まる)にて塩出(しほだ)してよくしぼりて
庖丁(ほうちやう)し味淋酒(みりんしゆ)を沢山(たくさん)にかけて浸(ひた)しおくこと三十日ばかり
【左丁】
茄子(なすび)すきとをるほどひやけて奈良漬(ならづけ)の茄子(なすび)にまさること
とをし
麹漬(かうじづけ)
醴麹(あまざけかうじ)三/枚(まい)に味淋酒(みりんしゆ)一升をかけてねかし置(おき)干瓜(ほしうり)に塩押(しほおし)
茄子(なすび)干大根(ほし )などを刻(きざみ)こみ《振り仮名:紫蘇の実|しそ み》生姜(せうが)とうがらしをも
すこしづゝくわへ能(よく)つきたる時(とき)に賞翫(しようくわん)すべしこれ漬物(つけもの)の
醍醐味(だいごみ)ともいふべし
百味加薬漬(ひやくみかやくづけ)
生姜(せうが)茗荷茸(めうがたけ)蓼(たで)紫蘇(しそ)青柚(あをゆ)山椒(さんしよ)大小の蕃椒(とうがらし)右の類(るい)