翻刻
【右丁】
何品(なにしな)にかぎらず塩押(しほおし)にしてたくわふべし生(なま)の品(しな)あり
あわぬ時(とき)はちよつと塩出(しほだ)して間(ま)にあはせる事まゝ多(おほ)し
料理意(れうりこゝろ)ある者(もの)は必(かなら)ずたしなむべき事なり俗(ぞく)に《振り仮名:ゑの実| み》
とうがらしといふまるきをも漬込(つけこむ)べし
巻漬(まきづけ)
ふとき大根(だいこん)木口(こぐち)より薄(うす)くはやしよく干(ほし)てたくわへ置(おき)
塩蓼(しほたで)生姜(せうが)をほそ引(びき)きり〳〵とまき輪(わ)とうがらしを帯(おび)
にして三杯酸(さんばいず)に漬(つけ)おく
阿茶蘭漬(あちやらづけ)
【左丁】
ほし大根を一寸/斗(ばか)りに切立(きりたて)に《振り仮名:四ッ割|よ わり》にきざみみづから
昆布(こぶ)生姜(せうが)《振り仮名:茗荷の子|めうが こ 》塩押茄子(しほおしなすび)《振り仮名:つと麩| ぶ》小梅干(こうめぼし)等(とう)を
加(くわ)へて酒(さけ)醤油(せうゆ)にて酸(す)は梅(うめ)の酸(す)を用(もち)ひて当座漬(とうざづけ)に
つける尤きくらげとうがらしを入(いれ)べし又/蓮根(はすのね)独活(うど)
新牛旁(しんごばう)時々(とき〳〵)の品(しな)を加(くわ)へるも可(か)なり
菜豆青漬(いんげんあをづけ)
夏(なつ)の土用中(どようちう)に隠元(ゐんげん)さゝげをとりて豆腐(とうふ)のからの水(みづ)
気(け)をよく絞(しぼ)りとり塩(しほ)と等分(とうぶん)にまぜて右(みぎ)のゐんげんを
押漬(おしづけ)につけて動(うこか)さずして畜(たくわ)ふ冬(ふゆ)のうちより春(はる)へかけて