翻刻
【右丁】
六十匁塩二升にまぜて松茸(まつだけ)壱〆目余を漬置(つけおく)なり
常(つね)の如(ごと)く塩出して遣(つか)ふに風味(ふうみ)も殊更(ことさら)よく匂(にほ)ひも生(なま)に
かわることなし又/初(はつ)だけ松露(しようろ)もかくのごとくして漬置(つけおけ)ば風味よし
漬昆布(つけこんぶ)
松前昆布(まつまへこんぶ)を撰(ゑら)び一夜(いちや)水にひたし置(おき)よく砂(すな)を洗(あら)ひ日に
乾(かわか)して溜(たまり)がちなる味噌(みそ)に漬(つけ)るなり又 粕(かす)につけるも
同(おな)じ事なり昆布(こんぶ)の両方(りやうはう)のふちをたち切(きり)正味(しやうみ)の所
ばかり手比(てごろ)に庖丁(はうてう)して重(かさ)ねて漬るなり
糸瓜糟漬(へちまかすづけ)
【左丁】
糸瓜(へちま)の花(はな)落(おち)二寸 位(くらゐ)の所をとり粕(かす)に食加減(くひかげん)の塩(しほ)を
まぜて漬(つけ)るなり尤(もつとも)押蓋(おしぶた)しつかりとして水あがり
たらば桶(おけ)をかしげてこぼすべし是(これ)へちまの塩水なり
水気(みづけ)なきやうにして畜(たくわ)ふべし又 余蒔胡瓜(よまききうり)もかくの
如(ごと)くして漬置(つけおく)べし
胡蘿蔔味噌漬(にんじんみそづけ)
にんじんのあとさきを切(きり)五六日 風(かぜ)のすく所へ置(おき)甘塩(あまじほ)に
して漬(つけ)るなり三四十日たちて一日 日(ひ)にほしてみそに
つけ更(かへ)るなり又 粕漬(かすづけ)にするには塩(しほ)をからめにして