翻刻
一天明二年壬寅七月十六日大風の砌我近所
伊右衛門方よりの出火ニて午ノ上刻より未
上刻迄纔の間に家四十九軒焼失い
たし右の大風急火故何も家材諸
道具出せしものすくなし尤も少〻は
持出ス家材も殊の外の大風故炭となし
我も悪風に火用心のため水車家
を見繕に行に早速出火と聞付其
足を直に引返しに我宅も焼ふさき
最早のそき見もならさる然るに心有
人〻五七人もかけ付御佛前廻を出し
呉けるに御三尊御文御和讃両鉤砲
花瓶計出シ御花洛は千〻に打崩前而は
我先祖妙意と申は宗仁継母なるに
此妙意存生の砌長﨑御寺御院主願
力院様より拝領のしやくせんたん香木
を以延寿寺御院主御隠号大忍院様御彫刻