翻刻
《割書:大地震|大津波》一口ばなし
【上段】
津なみと聞て みづに
どこも にげた
材木がこけて
きてにげた そふか
《ルビ:今夜|こんや》も西か鳴に
よつて《ルビ:寝|ね》られん おきばん
船に乗て死だ ながれの
げいこおやまも みじや
みりん蔵がこけた
ときあたまを打た でんぼ
清水のふたいにいたら とんだ事
地しんでくだけた ナァ
鉄げん寺の釣かねが
落て何にも ならん
《ルビ:西辺|にしへん》のはしは 《ルビ:十|と》を
無事なり おちた
《ルビ:荷物|にもつ》が せんど
しれんので さがした
紙屋の家が《ルビ:崩|くづ》
れて亭主は はんし
《ルビ:乾物|かんぶつ》屋はにげる
のになんぎした 《ルビ:数|かず》の《ルビ:子|こ》
【下段】
東海道の馬かたも
地しんにあふて まご〳〵
地しんで ゑら
にげる《ルビ:娘|むすめ》は ゆすり
《ルビ:新造|しんざう》さんは
水上しられて われた
野宿のあいだ
此ふすまをちよつと かりや
あつたのやしろは ソレ
地しんがゆらなんだ みや
鳥居も絵馬 ざまの
堂もこけた わるい
大地しんの時こんな ゑらい
家にゐるのは こけじや
にげしなにかまぼこ アヽ
屋の《ルビ:門|かど》でこけて いた
《ルビ:象頭山|ざうづさん》は 《ルビ:鼻高|はなだか》
あれなんだ じや
寺〳〵の門へ
つゝぱりかふた 《ルビ:丸太|まるた》
地しんで
米が安ふなる 《ルビ:世直|よなを》し