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【図中に書き込み】
レウ《?:セン》シ?【霊山寺?】
ホウヲ
《?:ンシ》【法恩寺?】
コマカタ
下谷
シロコウ
シ
△本所中の郷弁天小路に八百屋新助といふものあり右地震にて半丁余潰新助方も潰て【「し」の誤記ヵ】
が三人の子を漸赦(やう〳〵たすけ)出しけれ共妻やす女は梁下(はりのした)に閉込(とぢこめ)られ自由(じゆう)ならず狂気(けうき)のごとくなりて
板|材木(ざいもく)土|瓦(かはら)を刎除赦(はねのけたすけ)んとする間(うち)同所|薪(まき)屋より出火にて次第に火勢(くはせい)つよく炎(ひのこ)は雨の
ごとし妻やすが云やう妾(わらは)を赦(たすけ)んとて時うつれば御身を始(はじめ)三人の子迄|危(あやう)し妾(われ)は覚悟(かくご)
なり|尓共(しかれとも)火を見て死(しな)ん事|最(はなはだ)心|苦(ぐる)しといふに新介心得ふる半天を頭(あたま)に覆置泪共(かけおきなみだとも)に
示(しめし)て云やう天災(てんさい)ながら非業(ひがう)の死(し)をさせんこと最悲(もつともかな)し三人の子は我よく養育(やういく)をすれば
必(かならず)心に懸(かける)べからず是ゟ割下水牧野(わりけすいまきの)氏を憑(たのむ)べし御経(おんけう)おも上て成仏せよと云捨て立退(たちのき)
けり其夜|子下刻(こゝのつすぎ)牧野方へ尋来(たづねきたる)ものあり髪(かみ)は残(のこり)なく焼落頭面(やけおちつめん)より半身黒熏(はんしんくろすほり)にして
焼爛(やけたゞれ)たる容(さま)は実(じつ)に幽霊(ゆうれい)成べし新介|委細(いさい)を問(とふ)に妻やすが云やう火は段々|燃来(もへきたり)て梁(はり)
の半(なかば)を焼(やけ)しゆへ押付(おしつけ)たる所甚|軽(かる)し漸(やう〳〵)火中を脱(のがれ)たるを語(かた)りぬ是等は未命運(いまだめいうん)の尽(つき)ざる
ものにして最(いと)めでたし凡|今度(こんと)の騒乱(そうらん)に如此脱(かくのごとくのが)れたる又は井中(いのなか)に落入火災(おちいりくはさひ)を逃(のがれ)
たるもの此外|種〻珍説(いろ〳〵ちんぜつ)あまた有と雖物繁(いへどもことしげき)を以|些(わづか)に其一二を挙(あぐる)のみ