翻刻
声(こへ)いろ〳〵替取(かへとる)へし是(これ)を大手小手(おほてこて)
といふて人の気(き)のつかぬ手なり
一 拳(けん)は三具足(みつぐそく)といふてこゝろと手と
口(くち)と揃(そろ)はねばなりかたし此所(このところ)をよく
思案(しあん)して打(うつ)へし
一拳は酒席(しゆせき)のたはむれといへども他(ひと)の
見分(けんぶん)よろしきやう心(こゝろ)得へし相手(あいて)に
向(むか)ひうちかゝる時(とき)左(ひたり)の手を直(すく)にあけて
うちかゝる人ありかくする時は一本(いつほん)も取(と)
らざるとき見ぐるしまた失礼(しつれい)なり
つゝしむへし一本とりてより左(ひたり)の手
を上け四本とり払(はら)ふて膝(ひざ)に置へし
一相手にむかひ打合時(うちあふとき)心得(こゝろへ)の事
相手に向ひ打ときはよく心(こゝろ)をしづめ