翻刻
【上段】
○梨(なし)は熱嗽(ねつさう)をやめ渇(かつ)をと
め痰(たん)を消(せう)し火(ひ)をくだし
肺(はい)をうるほす
○柰(からなし)は中焦(ちうせう)もろ〳〵の不(ふ)
足(そく)の気(き)を補(おぎな)ひ脾(ひ)を和(くは)し
気(き)ふさがるを治(ぢ)す
○棗(なつめ)は脾胃(ひゐ)をやしなひ津(しん)
液(えき)を生(しやう)し心腹(しんふく)の邪気(しやき)を
さり心肺(しんはい)をうるほす
○栗(くり)は気(き)をまし腸胃(ちやうゐ)を
あつくし腎(しん)を補(おぎな)ひ腰脚(こしあし)かな
はざるを治(ぢ)す茅栗(しばぐり)杭子(さゝぐり)
○柚(ゆう)は食(しよく)を消(せう)し酒毒(しゆどく)を解(げ)
し腸胃(ちやうゐ)の悪気(あくき)をさり婦(ふ)
人(じん)孕(はらみ)て食(しよく)をおもはず口(くち)淡(あはき)を
治(ぢ)す
○柑(くねんほ)は腸胃(ちやうゐ)のうちの熱 毒(どく)を
利(り)し俄(にはか)に渇(かつ)をやめ小便を利(りす)
○枳(からたち)は大 便(べん)をつうしむねのつかへ
をさり痰(たん)を消(せう)す脾胃(ひゐ)よ
はきものは用ゆべからず
○橘(たちばな)は消渇(せうかつ)をやめ胃(ゐ)をひらき
膈中(むねのうち)のふさがりをのぞく
○榧(かや)は寸白虫(すんばくちう)を治(ぢ)し食(しよく)を消(せう)
し目(め)を明(あき)らかにし咳嗽(がいさう)白濁(びやくだく)
をやめ痔(ぢ)を治(ぢ)す
○柿(かき)は水(みづ)を利(り)し酒毒(しゆどく)を解(げ)し
胃中(ゐちう)の熱(ねつ)をさる
○椎(しい)は腸胃(ちやうゐ)をあつくし人をし
て肥(こへ)すこやかならしむこれを
くらへばうへず
○榛(はしばみ)は気力(きりよく)をまし腸胃(ちやうゐ)を実(しつ)
【挿絵】
梨(り) なし
柰(たい) からなし
棗(さう) なつめ
栗(りつ) くり
柚(いう) ゆ
柑(かん) くねんほ
からたち
枳《割書:き|し》 きこく
橘(きつ)
たちばな
みかん
椎(すい) しい
榧(ひ) かや
柿(し) かき
榛(しん) はしばみ