みんなで翻刻ver1

コレクション: STAGE8

地震考 全 - 翻刻

地震考 全 - ページ 14

ページ: 14

翻刻

 誠にあやしげなり四方|濛々(モウ〳〵)として雲山の腰にたれ山  半腹より上は峯あらはれたり雨とも見へず風になる  とも覚へず我年来かくのごとき天気を見ずと大に  あやしむ此時廣嶋氏考て曰是は雲のたるゝにあらず  地気の上升するならん予幼年のとき父子聞ける事  有地気の上升するは地震の徴(シルシ)なりと暫時も猶予(ユウヨ)有  べからずと急ぎ旅宿に帰り主に其由をつげ此地後は山  前は海にして甚|危(アヤウ)し又来るとも暫時外の地にのがれん  と人をして荷物など先へ送らせそこ〳〵に支度して  立出ぬ道の程四里計も行とおもひしが山中にて果し  て大地震せり地は浪のうつことく揺(ユリ)て大木など枝み  な地を打ふしまろびながら漸にのがれて去りぬ此時|小(ヲ)  木(ギ)の湊は山崩れ堂塔は倒れ潮(ウシホ)漲(ミナギリ)て舎屋(イヘ)咸(ミナ)海に入  大きなる岩海より涌出たりそれより毎日小動して翌  年六月に漸々止たりとなん其後同国金山にいたりし  時去る地震には定めし穴も潰(ツブ)れ人も損ぜしにやと