翻刻
に震せんとするを知ると
又井水にはかに濁り湧も亦震の徴(シルシ)なり 《割書:已上|天文考要》
又世に言伝ふは雲の近くなるは地震の徴なりと是雲
にはあらず気の上升するにて煙のごとく雲のごとく
見ゆるなり
地震の和名をなゐと云和漢三才図絵にはなへとあり
なゐの仮名然るべからむ歟
季鷹翁の説になは魚にてゐはゆりの約(ツヾマ)りたるにて
なゆりといふ事ならむ歟魚の尾|鰭(ヒレ)を動かすごとく
動揺するを形容して名目とせるかなゐふるとは重
言のやうなれどもなゐは名目となれはなるべしと是
をもて思へは誠に小児の俗説なれども大地の下に大
なる鯰(ナマヅ)の居るといふも昔より言伝へたる俗言にや又
建久九年の暦の表紙に地震の虫とて其形を画
き日本六十六州の名を記したるもの有俗説なるべ
けれども既に六七百年前よりかゝる事もあれば鯰