翻刻
迚(とて)も。人(ひと)は誠(まこと)の一(ひと)つがなければ。身(み)の治(おさま)りは。な
らぬぞかし。今(いま)汝(なんぢ)に式銀(しきがね)をあたへなば。式銀(しきがね)の
あるに。鼻(はな)を高(たか)ぶりて。凹(ひく)き鼻(はな)をわするゝ故(ゆへ)。
幾度(いくたび)嫁(か)しても。去(さら)れて帰(かへ)るべし。今(いま)我(われ)。汝(なんぢ)が
鼻(はな)を。五割(ごわり)がた凹(ひく)めて。遣(つか)はせしこそ。これそ
汝(なんぢ)が一生(いつしやう)の福徳(ふくとく)にて。縁(ゑん)を結(むす)ぶの守(まも)り神(がみ)也。
其(その)訳(わけ)は。只(たゞ)さへ凹(ひく)ひ。其(その)□□。五割方(ごわりがた)凹(ひくひ)と知(し)らば。
我身(わがみ)を恥(はぢ)て。物事(ものこと)にへり□だり。身(み)を慎(つゝし)む
人のまた
くゞりて
なりと
負(まけ)て
ゐる
智恵(ちゑ)の
つよさは
誰(たれ)も
かんしん
現代語訳
それでも、人は誠の心が一つでもなければ、身の振り方は整わないものである。今お前に結婚資金を与えたならば、結婚資金があることで鼻を高くして、低い鼻のことを忘れてしまうため、何度嫁いでも離縁されて帰ることになるだろう。今私が、お前の鼻を五割ほど低くしたのこそが、これがお前の一生の幸福であり、縁を結ぶ守り神なのである。
その理由は、ただでさえ低い鼻が、さらに五割方低くなったと知れば、我が身を恥じて、物事に謙遜し、身を慎む
人がまた
身をかがめて
なりと
負けて
いる
智恵の
強さは
誰も
感心
英語訳
Even so, if a person lacks even a single bit of sincerity, they cannot properly manage their life. If I were to give you wedding money now, having that money would make you proud and forget about your low nose, so no matter how many times you marry, you would be divorced and sent back home. Now, my making your nose fifty percent lower—this is your lifelong fortune and the protective deity of forming matrimonial bonds.
The reason is this: knowing that your already low nose has become fifty percent lower, you will feel ashamed of yourself, become humble in all matters, and conduct yourself with prudence.
A person who also
bows down
even so
Yielding
while
The strength of
wisdom
Everyone
admires