翻刻
覚へばこれやはり湯の相応せるなり
世におゝくは湯の相応せる症にてあり
ながら入湯の法(ほう)をしらず滅体無性(めつたむしやう)に
欲(よく)はりをなし或は酒をのみ不養生(ふやうしやう)
をなす徒(ともが)ら右のごとく不相応の症
をあらはす事あり故(ゆへ)に先つ二三日も
湯をやめてとくと保養(ほやう)しその後法
の通り試(こころ)むべし右の通に試るに
以前の通食の風味(ふうみ)もいよ〳〵あしく気(き)
分(ふん)もすぐれざるは決(けつ)しておもひきり
すみやかに浴湯(よくたう)を止(や)むへしかならす
大害(たいがい)をまねくこれ湯治人(たうしにん)の第一(たいいち)にし
るべき事なり又入湯後(にうたうご)四五日たちて
大便瀉利(たいへんしやり)或は昼夜(ちうや)に二三度或は七八
度程(ほど)すこし裏急後重(りきうこうしう)【左ルビ:あとにのこりこしはり】の気味(きみ)あり
て大便例(たいべんれい)よりは臭気(しうき)【左ルビ:にほい】つよきことある