翻刻
たりその外|古(いにしへ)より名(な)ある人|入湯(にうとう)して
病を療(りよう)せしためしその数(かす)あけて数(かそ)へ
がたし遠(とを)く唐土(とうど)をとふに清(しん)の通志(つうし)の
載(の)するところについてこれを考(かんか)ふれはお
よそ華中(くわちう)に温泉(おんせん)の数(かす)百四十|箇所程(かしよほと)見へ
たりその外|通志(つうし)に漏(も)れたる所も又いくら
もあるへし扨唐土(さてもろこし)にても周秦(しうしん)のいにしへ
より温泉(おんせん)に浴(よく)せしことありと見へて
論語(ろんご)の曽点(そうてん)か志(こころさし)をのべしことはに沂(き)に
浴(よく)し舞雩(ぶう)に風(ふう)ずるといへるも先儒(せんじゆ)の注(ちう)
釈(しやく)に沂(き)に温泉(おんせん)ありそれに浴(よく)せんといゝ
しことなるべしといへりいかさま理(り)を以
ておすに暮春(ほしゆん)三月の比(ころ)川の水をあび
にゆかんといゝしにてはあるましきなり
このことばすでに温泉(おんせん)のことならは曽点(そうてん)
一人にかきらすその時代(したい)の人すでにあれ