翻刻
これと温泉(おんせん)に浴(よく)せしと見へたりまさし
くはその後(のち)秦(しん)の始皇(しこう)瘡腫(そうしゆ)の病ありしに
驪山(りさん)の温泉(おんせん)に浴(よく)せられしかはその病す
なはち愈(いへ)たる由 三秦記(さんしんき)にあらはれたり
それよりして後(のち)漢(かん)の武帝(ぶてい)唐(とう)の明皇(めいかう)
その外|齊魏(せいぎ)の帝(みかと)唐宋(とうそう)の臣民(しんみん)温泉(おんせん)
に浴(よく)せし事そのためし一ならずされ
とも唐(もろこ)しの医書(いしょ)に温泉(おんせん)の事をくわ
しく論(ろん)じその理(り)を発明(はつめい)せしことさら
に見へ侍(はべ)らす唐(とう)の陳藏器(ちんそうき)か本艸拾遺(ほんそうしうい)
にはじめて温泉(おんせん)の功能(こうのう)をあらはせしか
ともさらにその理(り)のくわしきを説(と)かず
明(みん)の李時珍(りぢちん)か綱目(こうもく)もその説(せつ)甚(はなはた)疎略(そりやく)に
してかつて温泉(おんせん)の実理(じつり)をしらさるもの
に似(に)たりその外|張華(てうくわ)か博物志(はくぶつし)胡仔(こし)か
漁隠叢話(きよいんそうわ)の類(るい)いくらも温泉(おんせん)のうわさ