翻刻
くと煙のたちあかりて俗人(そくじん)の地獄(ちごく)と
号(ごう)する類越中(ゑつちう)の立山(たてやま)日向(ひうが)の霧島(きりしま)相州(さうしう)
湯本(ゆもと)の鍛冶屋地獄紺屋地獄(かちやちこくこんやちこく)なとの類
皆是火井(みなこれくわせい)の類にしてすなはち地中(ちちう)の
陽気伏(やうきふく)して欝(うつ)し聚(あつまり)て凝(こ)り遂(つい)に沸欝(ふつうつ)
して火気(くわき)を地上(ちしやう)に発越(はつゑつ)するものなり唐(もろ)
土(こし)の海東諸国記(かいとうしよこくき)といふ書にも日本に火
井の多くあるよしをしるせり扨又そ
の地中の火地中の脈理(みやくり)にしたがつて流(りう)
行(こう)するものたま〳〵地中の水筋(すち)に出?交(こう)
会(くわい)して地上に発越(はつえつ)するものこれ是を温(おん)
泉(せん)とす常の水筋(すち)に交会(こうくわい)するものは淡(みづ)
湯泉(ゆ)となりつ塩けのある水筋(すち)に交会(こうくわい)する
もの鹹(しお)湯泉(ゆ)とす故に温泉は天地自然(てんちしぜん)
陰陽(いんやう)の交会水火(こうくわいすいくわ)の妙合(みやうごう)なり
一 しかるに諸国の温泉かならす硫黄(いおう)の臭(しう)【左ルビ:に】