翻刻
気(き)【左ルビ:ほい】ありそれはいかにといふに総体硫黄(そうたいいおう)と
いふ物は右の地中(ちちう)の陽気土液(やうきどゑき)を薫蒸(くんせう)
し結(むす)ひ成(な)すものなり蓋(けだ)し地中(ちちう)の陽
気土あつく地かたく地上(ちしよう)山をいたゝくの
所にあたれはその気泄(も)れかたく発(はつ)し
かたく伏(ふく)して聚(あつま)り欝(うつ)して凝(こ)り絪紜(いんうん)
沸欝(ふつうつ)として土中(とちう)の膏液(こうゑき)【左ルビ:あふら】を薫蒸(くんせう)し
これを蒸(む)しこれを凝(こら)し遂(つい)に礜石硫(よせきい)
黄(おう)の類(るい)を結成(けつせい)【左ルビ:かたらましなす】すこれ硫黄至陽(いおうしやう)の剤大(さいたい)
熱(ねつ)の性(しやう)たるゆへんなり日本に硫黄山(いおうさん)
いくらもありその所についてこれを黙(もく)
視(し)せばその理(り)おのつから瞭然(りようせん)【左ルビ:あきらか】たるべし
先年薩州(せんねんさつしう)の霧島山(きりしまやま)駿州(すんしう)の富士山(ふじさん)
故(ゆへ)なくして土中(どちう)より火を出し突然(とつぜん)
として焼破(せうは)したるをは世の人は皆硫(い)
黄(おう)の勢気(せいき)にて火を突発(とつはつ)せるなりといへ