翻刻
はひとつなれども所〳〵によりてその美(び)
悪臭味極寒微冷(あくしうみこくかんひれい)の相違(そうい)あり水のうぶに
相違はなけれ共その土地|次第(しだい)なり温泉
の能毒(のうとく)に相違(そうい)のあるもかれとおなしこと
なりといへるはまことにもつともなる説(せつ)なり
彼既(かれすで)に地中(ちちう)に陽火(やうくわ)ありという大段(たいでん)を合(か)
点(てん)せしゆへるその言(ことば)の味(あちわい)あることかく
のことし
一 宋(そう)の諸老先生(しよろうせんせい)の性理(しやうり)の説(せつ)に天下の人に
愚痴賢不肖(くちけんふしやう)の相違(そうい)あれともその本(ほん)
然(ぜん)の性(せい)はもと二致(じち)あるにあらずその相(そう)
違(い)の出来るは気稟(きひん)の清濁(せいだく)によりて或は
賢(けん)となり或は愚(ぐ)となるその本然(ほんぜん)の性(せい)
のまゝなれは至善中和(しせんちうくわ)の正(せい)なりとの
たまへるとおなしき道理(とうり)にて温泉も
その沸(わき)出る土中の水|筋(すち)湯|筋(すち)銅鉄銀(あかゝねてつぎん)