翻刻
笑ふべきのみならずいまたかつて元気(けんき)
の字義(じき)をしらされはなりしかし元気(けんき)の
論(ろん)はあながちに此書の主(しゆ)とする所に
あらさる故にその説のつまびらかなる
ことはこゝに略(りやく)す温泉(おんせん)の能毒(のうどく)のわかるゝ
はあつきとぬるきとによることにあらす湯
筋の差別(しやべつ)によることなり故に極熱(こくねつ)の湯(ゆ)
にも寒冷(かんれい)の性(しやう)をそなへし温泉あるへし
煎湯(せんとう)は熱湯(ねつとう)にても石膏(せきこう)の煎湯(せんとう)は寒性(かんしやう)
なるかことし又さまて極熱(ごくねつ)にてなく共外の
物にそますたゝ純陽硫黄(しゆんやういわう)の気はかりを
土中にて触(ふれ)そゝきて出来たる温泉なら
はその性温にしてよろしかるへし故に
温泉をゑらふはたゝ異気(いき)に染(そ)むるそま
ぬかをとくと吟味(ぎんみ)し自然(しぜん)天|然(ねん)うぶのま
ゝなる水筋の湯硫黄の気ばかりに