翻刻
といふ歌をよみし由見へたり此さねか
湯治せし湯つくしとはかりありて
いつれの温泉のことゝもさたかならすつ
くしといへはさすところ甚ひろし今
九州の温泉ある所甚多し左さすれはい
つれの温泉のこととも極めかたけれ共|釈(しやく)
の蓮禅(れんぜん)かはる〳〵と武蔵(むさし)の温泉に浴(よく)せし
を以て類推(るいすい)すれはさねか湯治せし温
泉も武蔵なるへし
一 その所の人のいゝつたへにはいにしへ|将軍(しやうぐん)
虎麻呂(とらまろ)といふ人ありその女疾(むすめやまい)ありて
いゑかたかりしに此温泉に浴(よく)せしかは
その疾すなはち平愈(へいゆ)せり故に虎麻呂
その湯を経営(けいゑい)し取建(とりたて)しよりこの
かた今にいたるまて浴者絶(よくしやた)へすといへり
虎麻呂(とらまる)の本宅(ほんたく)は古賀村(こがむら)の内すだ