翻刻
【右】
街(がい)を流通(つう)じ且其/流(なが)れ穏(をだや)かなる者なれば其/下流(かはしも)に於
て大に不潔(ふけつ)となり又/多量(たぶん)の【左線】有機(いうき)【左線】無機(むき)の両質(りやうしつ)を含(ふく)め
るは大に害(がい)あり又/海(うみ)に近(ちか)き河水は潮波(うしを)の逆流(さかのぼり)て海
水の成分(せいぶん)を含(ふく)めるを以て飲用(いんよう)になり難(がた)く又/瀑雨(にわかあめ)或
は洪水後(おほみつご)にて其水の色/恰(あたかも)味噌汁(みそしる)の如く染(そ)むる時は
【左線】有機物(いうきぶつ)其他/諸雑物(いろ〳〵のもの)を含(ふく)む故
決(けつ)して飲m可からず
総(すべ)て先一/般(はん)の河水は飲料(いんりやう)にならさる者と看做(みな)して
よし然(しか)し之を飲まざるを得(ゑ)ぬ時(とき)は含有物(ふくむもの)の著(いちじる)しく
無(な)き者を撰(ゑら)み水濾法(みづこしはふ)によつて濾過(こす)せば僅(わづか)に其用に
供(けう)するに足(た)る
【左】
[井水]井水は粗(ほゞ)泉水に同しと雖/土質(としつ)を含(ふく)むこと多(おふ)けれ
ば泉水の如く佳良(よき)水と稱(とな)へ難(かた)し然(しか)れ共死水に比(ひ)す
れば僅少(すこ)しく良なり故に其/含(ふく)む所の物質(もの)或は量(かさ)に
よつて飲料(のみりよう)となる然し底(そこ)の汚泥(きなきどと)なる井水は其水に
【左線】炭酸加爾基(タンサンカルキ)、【左線】鹽酸曹達(エンサンサウダ)、【左線】鹽酸加爾基(エンサンカルキ)、【左線】硝酸加爾基(セウサンカルキ)、【左線】硫酸加爾里(リウサンカルリ)、等を含(ふく)みて其/性剛(せいつよ)くして豆(まめ)、肉(にく)、類(るい)を煮(に)又煎茶(せんちや)等の
用になし難し殊(こと)に【左線】有機物(いうきぶつ)を含(ふく)める水は必(かなら)ず臭気(しうき)を
帯(お)び顕微鏡(けんびきやう)或は肉眼(にくがん)を以て歴然(はつきり)其水中に第六圖の
如き生活體(せいくわつたい)を看認(みしたゝ)偖(さて)又/前章(ぜんしよう)に云(い)へる如く都會(とくわい)の
人家(にんか)稠密(つみ)たる所の井は多く厠圊(かわや)、糞壺(こへつぼ)、溝渠(みぞ)、又は塵芥(ちりすて)