翻刻
【右】
其他/井(せい)、泉(せん)、河(か)、の起源(おこり)及ひ其/造搆(ぞうこう、つくりかなへる)の物質(ぶつしつ)により水中の含(がん)
有物(いうぶつ)を分析(ぶんせき)すれば多く諸物(しよぶつ)を認(したゝ)め看(み)らる既(すで)に【左線】沃鎭(よぢん)の
如きは水中に含(ふく)むこと化学的(くわがくてき、くすりでみつ)にて調査(しらべ)らるゝと雖此等
は百磅(ぽんど)《割書:一磅が百|二十目餘》以上の水を分析(ぶんせき、わける)するに非(あら)ざれば之
検査(けんさ、しらべる)するに苦(くる)しむ是/全(まつた)く水中に含(ふく)むこと微小(すくなき)が故なり
假令害(たとひがい)ある者とも其/分量(ぶんりやう)の極少微(ごくせいび、すなき)なる時は人身(じんしん)上に
障害(さまたげ)あることなきもの故茲(こゝ)に説(と)かず今左に記(き)る所の者
は右/含(ふく)む物の如何なる(いか)なる性能(せいなう)あるかの大約(おほよそ)を説明(ときあか)す者
なり
第三章
【左】
[剥多亞斯] 【左線】剥多亞斯(ボツタース)は灰(はい)に含(ふく)む鹽(しほ)の如きものにてよく
水に溶化(ようくわ、とけ)す世上に云う所のあく水は此ものゝ水に解(とけ)
て混(まじ)るな人體(じんたい)の中に在りては血液(ち)、乳(ちゝ)、汁、尿(いばり)の如きも
のに混(まじ)り【左線】剥多亞斯(ボツタース)鹽(えん)を存在(そんざい)する者とす若し水中に含(ふく)
みたるも多量(たりやう)ならざれば飲んで健康(けんこう)上に害(がい)あることな
し
[曹達] 【左線】曹達(サウダ)は鹽(しほ)の原(もと)にして胃(ゐ)を清涼(すゞやか)にする性(せい)をもち殊(こと)
に留飲(いうひん)、食滞(しよくたい)等を治(じ)する効(かう)あれば譬(たと)ひ水中に多量(たりやう)の【左線】曹(サウ)
達(ダ)を含(ふく)むとも一/切害(せつがい)あること無し尚(なほ)善良(ぜんりやう)の飲水(のみみづ)となす