翻刻
【右】
偖(さて)水は数年間(いくねんかん)飲用(いんよう)にする共【左線】有機物(いうきぶつ)の多量(たりやう)を含(ふく)むに
非(あら)ざれば健康上(けんこうじやう)にあること更(らさ)になし
[安母尼亞] 【左線】安母尼亞(アンモニア)は激烈(はげ)しき臭(かざ)を有(いう)する無色(むしよく、いろなき)の揮發(きはつ、のぼる)
し易(やす)き瓦斯(ガス)なり若し水中に多量(たりやう)含有(がんいう)せることあれば之
を飲(の)むべからず総(すべ)て【左線】安母尼亞(アンモニア)の多く含(ふく)む水は糞壺(こへつぼ)、腐(くさ)
敗(れ)たる土(つち)多き地質(ちしつ)、滴虫(てきちう、ちいさきむし)多き地質(ちしつ)等より來(きた)れる者多け
れは多分(たぶん)【左線】有機質(イウキシツ)を含(ふく)めり故に惡(あし)きものとす然し尿様(いばりやう)
即ち不快(ふくわい、こゝろよからぬ)の臭気(しうき、にほひ)を附與(ふよ)すと雖其水【左線】有機質(イウキシツ)の含(ふく)むこと少(すく)
なき時は假令(たとひ)其/多量(たりやう)なるも決(けつ)して健康上(けんこうじやう)に無害(むがひ)なり
[石灰] 【左線】石灰(セキクワイ)は小兒(せうに)の【左線】膓(ちよう)、【左線】胃(ゐ)中に酸(す)き液(しる)を醸(かも)し嘔吐(あげ)下利(くだし)を
【左】
發(はつ)する者を止(とゞ)めるの効(こう)あれども此のみ用ゆることは稀(まれ)
なり故に水中に小量(せうりやう)含(ふく)む時は健康上(けんこうじやう)に害(がい)あることなし
然し【左線】硫酸石灰(リウサンセキクワイ)を多く含(ふく)む水は【左線】膓加答兇(チヨウカタル)《割書:所謂|痢病》様(やう)の疾病(やまひ)
を誘(さそ)ひ尚永(なほなが)く之を用(もち)ゆれば総(すべ)ての消化器(せいくわき、ものをこなすきかい)を害(がい)するに
至(いた)る可し
[苦土] 苦土(クド)は【左線】广倔揑失亞(マクネシア)と稱(とな)へ土質(どしつ、つきやうな)のものにして曹達(サーダ)
と大同小異(たいどうせうゐ)のものなれども水中に大/量(りやう)含(ふく)む時は大に
健康上(けんかう)上に害(がい)あり
[酸化鐵] 【左線】酸化鐵(サンカテツ)は少量(せうりやう)なれば血(ち)を富(とま)すの性(せう)あれとも多(た)
量(りやう)なるときは胃(ゐ)に妨碍(さまたげ)を起(おこ)す故に水中/多量(たりやう)含有(がんいう)する