翻刻
【右】
今/試(こゝろみ)んと欲(ほつ)する水を前件(ぜんけん)の器(うつは)にて摂(せつ)氏百五十/度(ど)以下
百二十/度(ど)の温度(おんど、ぬくみ)を以て数時間(すうじかん)煎沸(せんふつ)し殆(ほと)んと其/半(はん)
量(りやう)になると候(うかゝ)ひ其/液(しる)を膠質(にかわけ)の無(な)き紙の上(うへ)に傾(かたむ)けて濾(こ)
し其紙上の物を假(か)りに[甲物]となし其紙より滲透(しみとほり)たる
漏水(おりしる)を[乙水]となし左の試験(しけん)を為(な)す可し
甲物は水中に遊離(いうり)する【左線】炭酸(タンサン)の効用(こうのう)にて液中(えきちう)に収留(とゝま)り
たる【左線】炭酸石灰(タンサンセキクワイ)、【左線】炭酸苦土(タンサンクド)、【左線】膽酸化鐵(タンサンクワテツ)、【左線】燐酸(リンサン)時(とき)あつては硫酸(リウサン)
【左線】石灰(セキクワイ)、【左線】粘土(ネンド)等の諸合物(しよがふぶつ)なり
甲物試法
[第一] 【左線】炭酸(タンサン)を試験(しけん)するは甲物(こうぶつ)に稀薄(うすき)【左線】挌魯爾水素(コロールスイソサン)の小(せう)
【左】
量(りやう)を溶(と)き泡醸(あわたゝ)は【左線】炭酸(タンサン)なりと定(さだ)む
遊離(いうり)の【左線】炭酸(タンサン)を含(ふく)める水は少許(すこし)の【左線】石炭(セキタン)水(スイ)を加(くわ)ふれは
溷濁(にごり)を生(せう)す可し
[第二] 【左線】鐵を發顕(あらは)すは甲物(かうぶつ)の溶液(ときしる)に【左線】硫藏剥多亞斯(サルホシニートポツタース)又は【左線】蔵(ヘロシ)
加里鉄剥多亞斯(ニードポタース)を注(そゝ)ぎて【左線】鐵(テツ)を試(こゝろ)む
[第三] 【左線】石灰、【左線】苦土は上/術(じゆつ)に因(よつ)て既(すで)に【左線】鐵(テツ)を試(こゝろ)みたる溶液(ときしる)を
煎(に)て之に【左線】安母尼亞(アンモニア)を加(くわ)へて濾過(こ)し其/濾液(こししる)に又/蓚酸安(シウサンアン)
母尼亞(モニア)を加へて久間(ひさしく)《割書:凡二十|時間》暖(あたゝか)なる所に置(お)き若(も)し白色
の沈降(おり)を發顕(あらは)せは石灰(セキクワイ)なり《割書:【左線】石灰は【左線】炭酸と【左線】硫酸|と存することあり》而して
后此/溶液(ときしる)を濾(こ)し其/濾液(こししる)に再(ふたゝ)ひ【左線】安母尼亞(アンモニア)を混(こん)し又加ふ