翻刻
【右】
浄水法
不潔(きたなき)みずを飲料(のみりよう)にせんとするは其法/種々(いろ〳〵)あり最(もつと)も容(た)
易(やす)くなす法は約そ十五分時間水を煑沸(にや)して之に些少(すこし)
の茶葉を投(とう)じて稀(うす)き茶浸(ちやしる)と為して用るを最良(さいりやう)とす
総て煑沸(わかし)たる水は種々(いろ〳〵)の氣盡(きこと〳〵)く放散(はうさん)して多く其/固(おち)
有味(まへのあぢ)を失(うしな)ふ者なれば其水一[コップ]中に[アルコホル]
《割書:[酒|清]》五六滴を混和(まぜあは)するか或は之を密(たしか)に閉(とち)たる硝子壜(がらすびん)
に入れて空気(くうき)を共に二三十/回(べん)之を振(ふ)盪れは氣類(きるい)を吸(すい)
収(こみ)て少しく其味を佳(よく)ならしむ
最良(さいりやう)の浄却法は動物(だうぶつ)の炭、木炭(すみ)、珪炭(けいたん)、磁鐵(じてつ)、海綿(かいめん)、毛絨(もうじう)等
【左】
を器械(きかい)の基底(そこ)に箝(はさ)みて濾(こ)す其/装置(しかけ)種々(いろ〳〵)ありと雖/就中(なんづく)
其/動物炭(だうぶつたん)を以てする者を最(もつと)も良とす之を濾水器(みづこしきかい)と云
ふ
濾水器(みづこしきかい)をなすは直径(さしわたし)一二尺の植木鉢(うへきばち)をとり其/底(そこ)の穴(あな)
を海綿(かいめん)にて密塞込(とじこめ)其上へ二寸許/動物灰(だうぶつはい)を入れ其上を
細(こま)かなる砂石(すな)と粗(あら)き砂石(すな)とにて葢(おほ)ふ斯くそうち(しかけ)たる鉢
を上/葢(ふた)のある清潔(きれい)なる樽《割書:其葢に一寸許りの孔を穿り偖|樽の側に凡そ底より三四寸上》
《割書:へ一孔を穿り其に小注管を挿入し樽|の底には槲樹の木片二三簡を投す》の上へ上(の)せ鉢(はち)の孔(あな)
と樽(たる)の孔(あな)とを緊(かた)く合し而して水を灌(そゝ)げば砂灰(すなはい)を滲透(しみとほ)
りて良水となる若し人之を供用(きようやう)せんと欲(ほつ)せば彼の注(ちう)