翻刻
【右】
[第七則] 井水/若(もし)くは泉水にして飲水に供用(きようよう)するもの
は四/季(き)及び時々/気候(きかう)の順逆(じゆんぎやく、かわり)に会(あ)ふも只/僅微(すこし)の差異(ちがひ)を
見るのみなるべし而して此井泉は糞壺(こへつぼ)、溝暗(みそ)、製造(せいさう)場、及
び屠牛場(とぎう、うしをころす)場(ば)等より注流(ちうりう)する
所の悪水道より決(けつ)して浸淫(しんいん)
す可からざる位置(ゐち)を撰(えら)ばずんばあらず
[第八則] 常に飲用とせん水は寒暑(かんしよ)の変(かは)り、瀑雨(にわかあめ)の后(のち)、雪
融(とけ)の際(とき)等に当(あた)りては必(かなら)ず之に注意(こゝろ)を怠(おこた)る可からず是
則ち瀑雨(にわかあめ)等の為(ため)に所々(しよ〳〵)より浸淫(しんいん)して不潔物(ふけつぶつ)を増多(ざうた)す
るを以てなり
[第九則] 【左線】有機物(イウキブツ)を含有(ふく)める水を飲んと欲(ほつ)せば【左線】過滿俺
【左】
酸加里の溶(と)き液(しる)を少(すこ)し加(くわ)へて之を濾過(こ)すれば飲用に
供(けう)せらる
[第十則] 飲水の味(あぢ)を佳(か)ならしめんが為め醋(す)、砂糖(さたう)、甘味(あまみ)
のある果物(なりもの)の汁(しる)、葡萄酒(ぶだうしゆ)及他の酒精飲料(しゆせいいんりyおう)を加ふるは其
味を美(び)にするのみにして有害物(いうがいぶつ)を除(のぞ)くに足(た)らず
[第十一則] 【左線】單寧酸(タンニサン)の溶(と)き液(しる)を密(みつ)に瓶中(びんちう)に貯(たくほ)ふれば假(た)
令数年(とひすうねん)を経(へ)るも決(けつ)して其/性(せい)を變(へん)ぜす而して彼の【左線】虎列(コレ)
刺(ラ)病(へう)流行(りうこう)の際(さい)に当(あた)つては宜しく其/液(しる)十五/滴(てき)或は二十
滴を一[コツプ]の水中に滴(たら)し二三分時間/置(お)きて後之を
飲用せば能く水中の病毒(びやうどく)を除(のぞ)くの効験(しるし)あるもんとす」